政府、拡大信用供与措置第7回レビューでIMFとスタッフレベルで合意

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2024年01月12日

IMFは1月10日、拡大信用供与措置(EFF)の第7回レビューについて、アルゼンチン政府とスタッフレベルで合意に達したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。今後開催されるIMF理事会で承認されれば、アルゼンチンは35億SDR(IMFの特別引出権、約47億ドル)のIMF融資の払い込みを受けることができる。

政府とIMFは2022年3月、IMFから2018年に受けた約450億ドルの融資の返済について、EFFによる新たな支援を受けることで合意。双方が合意した経済政策プログラムの実施と目標を達成することを条件に、ディスバース(融資払い込み)スケジュールに基づき、融資金が分割して支払われる仕組みだ。第7回レビューは2023年11月に実施される予定だったが、アルゼンチン大統領選挙が11月19日の決選投票にまでもつれ込み、結果として政権交代が起きたことから、レビューの実施時期が調整されたとみられる。

IMFは今回のレビューについて、前政権による深刻な政策後退により、主要なプログラム目標が大幅に未達となったことから、マクロ経済の安定を回復し、経済再建の軌道に乗せるための一連の政策について、ミレイ現政権との間で合意に達したとしている。

また、IMFは今後の経済見通しについて、ミレイ政権が実施した価格統制の撤廃と為替レートの切り下げによって物価上昇と経済活動の縮小が深まるが、政策が確実に実行され、信頼を回復できれば、最終的には生産、需要、実質賃金が回復し、緩やかなディスインフレが定着するとした。しかし、不確実性が依然として大きいため、アルゼンチン政府はIMFに対して、必要に応じて政策の再調整を行うことを確約していることも明らかにした。

IMFはミレイ政権の取り組みについて次のとおり評価した。財政収支については、農産品輸出の回復と輸出入への増税による歳入増と公共事業の削減による歳出減により、基礎的財政収支の改善が見込まれるとした。また、外貨準備高の積み増しについては、公式為替レートの50%超の切り下げ、未払い輸入代金の支払い制限、為替介入政策の見直しなどの新政権のこれまでの施策により、2023年最終週に27億ドルの外貨準備の積み増しに成功し、2024年は100億ドルの純増を見込むとした。金融政策については、政府が中央銀行による財政ファイナンスの終了と過剰に供給されている通貨ペソの削減を確約しているとした。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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