規制緩和でITサービス輸出が急伸

(パキスタン)

カラチ発

2024年01月26日

パキスタンのIT関連サービス輸出が伸びている。2023/2024年度(2023年7月~2024年6月)上半期の「通信、コンピュータおよび情報サービス」の輸出(グロス)は14億5,488万ドルで、前年同期比9.0%の増加となった。2023年12月の同項目の輸出は3億299万ドルと、単月では過去最高で前年同期比22.7%増と高い伸びを記録した。

12月のIT関連サービス輸出が増加した1つの要因として指摘されているのが、パキスタン中央銀行(SBP)による規制緩和外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますだ。SBPは10月23日、ソフトウエアやIT関連サービスの輸出者の輸出収入を増やし、国内への外貨送金を増やすために、IT企業などが輸出代金として得た外貨の「輸出者特別外貨口座(ESFCA)」での保有上限を輸出額の35%から50%に引き上げた。さらに、ESFCAに保持された外貨については、SBPの事前承認なしに輸出者は自由に海外への支払いに使えることとした。パキスタンでは通常、企業は外貨口座を持てず、海外から受領した外貨はパキスタン・ルピーに換金されてルピー口座に入金される。ここ数年、ルピーが下落基調にあることから、パキスタンに送金されない多額の外貨が海外に滞留していることが指摘されていた。

連邦IT通信省は11月23日、「パキスタンのITポテンシャルを解き放つ」と題するITおよびIT関連サービス輸出のロードマップを発表した。その中で、パキスタンは2028年までにITおよびIT関連サービス輸出が100億~180億ドルに成長し、グローバルITハブになる可能性があることを指摘した。

さらに、同省は2024年1月9日、パキスタン初となる「パキスタンスタートアップファンド(PSF)」を開設した。このファンドに政府は毎年20億パキスタン・ルピー(約10億6,000万円、1パキスタン・ルピー=約0.53円)まで拠出する。外国投資家のパキスタンスタートアップ(SU)への投資リスクを低減するために、外国ベンチャーキャピタル(VC)がそのSUを100万ドルと評価した場合、そのVCは70万ドルを投資し、ファンドは30万ドルを出資ではなくグラントとして無償提供するという。

(山口和紀)

(パキスタン)

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