深セン市、多国籍企業の地域統括拠点設立奨励弁法を発表

(中国)

広州発

2024年01月29日

中国の深セン市政府は1月19日、多国籍企業の地域統括本部などの拠点設立を促進するため、「深セン多国籍企業地域統括拠点設立奨励弁法外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」の改定版を発表した。同規定は地域統括本部、本部型機構、事業本部の定義や認定基準、優遇政策などを定めるもの(詳細は添付資料表参照)。今回の改定は同規定を2021年に施行して以来初めてで、事業本部の定義などを追加した。有効期間は2027年1月19日まで。

認定基準について、地域統括本部は、親会社の資産総額が1億ドル以上(サービス業の場合は5,000万ドル以上)、申請企業の払込登録資本金が200万ドル以上などとしている。本部型機構の場合は、親会社の資産総額が5,000万ドル以上、申請企業の払込登録資本金が100万ドル以上、支部として設立した場合、本部から受ける運営資金が100万ドル以上などと定めている。今回の改定で新設した事業本部の認可基準は、深セン市で1年以上経営を継続しており、当該企業の営業収入について、前年度営業収入が5億元(約105億円、1元=約21円)以上、または海外の親会社の事業部門の営業収入全体に占める割合が5%以上などとなっている。また、地域統括本部と本部型機構の親会社の資本総額に対する要求を今回の改定で、もともとの2億ドルと1億ドルから、1億ドルと5,000万ドルにそれぞれ引き下げた。

上述の基準で認定された企業への優遇政策については、規定の第12条~第22条で定めている。貿易業務(第12条)に関しては、深セン前海蛇口自由貿易区内に設立された企業は、関連規定に基づいて自由貿易口座を開設し、中国と海外間での人民元・外貨の受け払い、中国国内での人民元受け払いの両方を処理することが可能となる。人材(第15条~第17条)については、上級管理職や企業の発展と技術イノベーションに顕著な貢献をした職員は、関連規定に基づいて深セン市の人材奨励を受けることができる。上級管理職とその家族は関連規定に基づいて保障性住宅(注)、教育サービスを申請できる。出入国手続き(第14条、第19条)に関しては、外国籍の職員は条件を満たせば、中国での工作許可証を申請でき、最長5年間の居留許可を申請できる。さらに、長期駐在する必要がある外国籍の上級管理職の家族は職員と同等の滞在期間のビザ発行が可能となる。通関手続き(第20条)では、輸出入貨物に対する便宜を提供する。知的財産権保護(第21条)については、知名度があり、大きな市場影響力を持つ商標に対する保護を強化するとした。

(注)政府が提供し、価格と賃料が市場相場より安い住宅。

(汪涵芷)

(中国)

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