広東省深セン市、製造業のコスト削減に関する措置発表

(中国)

広州発

2023年12月18日

中国広東省の深セン市政府は11月27日、「深セン市製造業のコスト削減に関する若干の政策措置外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。同措置では「広東省製造業のコスト削減による質向上の促進に関する若干の政策措置外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を実施し、深セン市で世界的な先進製造業センターの建設を進めるとしている。同措置は2024年1月1日から2026年12月31日まで試行する。なお、施行期日を定めている内容がある場合は、例外とする。

同措置では次のとおり、工業用地、人件費、資金調達、エネルギー、倉庫・物流の5分野を掲げている。

  1. 工業用地に係るコストを削減する。製造業の少量生産・軽量化設計を支援するため「工業上楼」(注1)を促進する。工場の賃貸契約手続き時のオンラインシステム化を促進し、原則として3年以上の契約とする。また、一定の条件を満たす重点産業プロジェクトの土地購入にかかる諸費用の分割払いを推奨する。
  2. 人件費を削減する。企業の技術革新・工場設備のメンテナンス、工場のデジタル化、ロボットの導入などを支援する。保障性賃貸住宅(注2)の建設を加速し、各行政区が企業収益、雇用者数などに基づいて同住宅の供給量を決定する。また、重点製造業にはキャリアアドバイザーを派遣し、適切なジョブマッチングを行う。
  3. 資金調達コストを削減する。スマート金融総合サービスプラットフォーム、深セン市信用サービスなどのプラットフォームを活用し、中小企業の資金調達の課題を解決する。製造業が債券や株式の発行による資金調達を支援し、一定規模以上の工業企業に補助金を支給する。
  4. エネルギーコストを削減する。工業団地での電力供給システムを改造し(注3)、企業の電気料金の削減を図る。工業団地の太陽光発電・電力貯蔵設備・充電・充放電装置の一体化を支援し、一定の条件を満たす企業には補助金を支給する。
  5. 倉庫・物流コストを削減する。航空会社が当該地域の産業・企業に必要な国際基幹航路を新設・増便することを奨励する。重点産業チェーンプロジェクトの非効率的な物流倉庫の拡張・リノベーションを支援し、リノベーション後の倉庫は重点企業に優先的に貸与する。

(注1)企業がビルの中で工業生産や研究開発、設計などを行う新しい産業空間モデル。このモデルによって、企業、特にイノベーションを目指す中小企業は工場を建設する高コスト、関連施設不足という難題を克服することができ、産業チェーンとサプライチェーンをさらに強靭(きょうじん)で緊密にすることができる。

(注2)低所得者向けに社会保障の一環として、社会保障的性格をもつ賃貸住宅。

(注3)改造前は、電力会社が工業団地内の企業に直接電力を供給できず、他会社から購入する必要がある。給電システムの改造後は、電力会社が企業に直接電力を供給し、直接決済が可能となる。他会社との電力取引を避けることで、企業の電気料金を削減する。

(梁梓園)

(中国)

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