イスラエル国防軍が人質誤射、テルアビブ市内では抗議集会開催

(イスラエル、パレスチナ、カタール、ノルウェー、米国)

テルアビブ発

2023年12月18日

イスラエル国防軍(IDF)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは12月15日、パレスチナ自治区ガザ東部のシュジャイヤでの戦闘で、ハマスが拘束していた男性の人質3人を「脅威」と誤認し、兵士によって射殺したことを明らかにした。

IDFは射殺された3人の人質の氏名を公表し、「IDFが全ての責任を負う」とした。IDFは事件の詳細を把握している段階だが、再発防止に向けあらゆる手段を講じるため、ガザ全域で活動する全ての兵士に対し、戦闘地域で人質を特定するための重点事項を即座に伝えたと述べた。

誤射による人質射殺の発表を受け、12月15日の夜にテルアビブ市内では抗議集会が開かれ、人質の家族や支援者らはイスラエル政府に対し、人質解放のための交渉を再開するよう求めた(「タイムズ・オブ・イスラエル」紙12月16日)。

イスラエル首相府外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、ベンヤミン・ネタニヤフ首相は12月16日に声明を発表し、「これは耐え難い悲劇であり、イスラエル全土が今夜、彼らの死を悲しんでいる」と哀悼の意を表するとともに、「われわれは教訓を学び、全ての人質を帰還させるという最も重要な任務を継続する」と述べた。

現地報道によると、諜報機関モサドのデビッド・バルネア長官は12月16日、カタールのムハンマド・ビン・アブドルラフマン・アール・サーニ首相兼外相とノルウェーで人質解放の交渉継続について協議したとしている(「エルサレム・ポスト」紙12月16日)。

サリバン米補佐官は両首脳と会談

米国のジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は12月14日にイスラエルを訪問し、テルアビブでネタニヤフ首相や戦争内閣と会談した。ホワイトハウス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、サリバン補佐官はガザにおけるイスラエルの軍事作戦について、「その目的、段階的な展開、ハマス残党に対する高強度の掃討作戦から低強度の外科手術的作戦へと時間をかけて移行するための条件設定など、詳細な説明を受けた」としている。

サリバン補佐官は12月15日には、ヨルダン川西岸のラマッラーを訪問し、パレスチナ自治政府(PA)のマフムード・アッバース議長と会談した。ホワイトハウス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、サリバン補佐官は、ガザのパレスチナ市民に対する救命人道支援の流れを拡大するための米国の取り組みを説明し、市民の保護強化の重要性を強調した。さらに、より平和で統合され、繁栄する中東地域、そして最終的にはイスラエル人とパレスチナ人に等しく正義、自由、尊厳を提供する二国家解決への道というジョー・バイデン大統領の長年のビジョンを再度強調したとしている。

イスラエル首相府外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、ネタニヤフ首相は12月17日の閣議の冒頭で、ハマスとの戦闘で死亡した兵士の家族からの手紙を紹介し、「われわれは最後まで戦う。われわれはハマスの壊滅、全ての人質の解放、そしてガザがイスラエル国家に対するテロリズム、扇動、攻撃の焦点とならないようにするという全ての目標を達成する」と述べた。

イスラエルとハマスの衝突の詳細については特集を参照。

(中溝丘)

(イスラエル、パレスチナ、カタール、ノルウェー、米国)

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