フランス中銀、2024年のGDP成長率を0.9%と予測

(フランス)

パリ発

2023年12月25日

フランス銀行(中央銀行)は12月19日にマクロ経済予測外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表し、2023年の実質GDP成長率を前年比0.8%と、前回9月の予測の0.9%から0.1ポイント下方修正した。一方、2024年のGDP成長率は0.9%、2025年は1.3%と前回の予測を据え置いた。フランス経済は不況に陥ることなく、インフレから徐々に脱するとのこれまでの見通しを確認した。

2024年の景気は前年からの減速基調が続くものの、インフレ収束に伴う購買力の改善により、家計最終消費支出(個人消費)が前年比1.5%増と前年の0.7%増から持ち直す見込み。2025年は金融引き締め効果が弱まり、企業設備投資の伸びも回復するとした(2024年は前年比0.5%増、2025年は1.2%増)。

消費者物価指数(CPI)上昇率(インフレ率)は2023年に年平均で5.7%となった後、2024年はエネルギー価格の下落を受けて2.5%まで低下するとした。CPIから価格変動の大きいエネルギーと食品の価格を除いたコア指数の上昇率(コアインフレ率)も緩やかに低下し、輸入原材料の調達問題が再発しなければ、インフレ率は2025年に1.8%と2%を下回る水準で安定すると予測した。

雇用情勢については、景気鈍化の影響で2023年第2四半期から雇用創出ペースが減速しており、2024年の失業率は7.6%と前年を0.3ポイント上回り、2025年は7.8%まで上昇するとした。賃金上昇圧力は2023年上半期にピークに達した後、インフレ後退に伴い2024年から鈍化する見込み。

財政赤字は、2023年にGDP比4.8%と前年とほぼ同じ水準で安定する。新たな大型財政支援措置が導入されなければ、2024年以降は徐々に縮小し、2026年には3.9%まで低下する見通しだ。公的債務残高のGDP比は2023年に109.9%と前年から小幅に縮小するが、2024年からは上昇し、2026年には111%に達すると予測した。

フランス銀行は今後のリスク要因として、ロシアによるウクライナ侵攻や米中間の緊張、中東情勢などが原油・ガス価格や貿易に与える影響を挙げた。一方で、フランス国内で2024年1月に予定される食品価格の引き下げに向けた食品メーカーと小売業者間での交渉締結が、物価下落圧力の加速につながる可能性を指摘した。

(山崎あき)

(フランス)

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