タイ商務省、RCEP新規加盟ルールや韓国とのFTA締結で進展

(タイ、香港、韓国、中国)

バンコク発

2023年12月21日

タイ商務省貿易交渉局(DTN)は12月12日、フィリピンのマニラで11月28日から30日まで開催された第5回「地域的な包括的経済連携(RCEP)合同委員会」(RJC)の結果外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを明らかにした。タイからはタチャヤーポン・アピモンテーチャブットDTN副局長が出席した。RJCでは(1)新規の加盟国の参加に関するルール、(2)RCEP支援ユニット(RSU)に関して議論された。

今回のRJCでは、新たなメンバー加盟の手続きについて、ルール作りの土台となる議論がなされたという。新規加盟ルールの最終化に向けた具体的なタイムラインは示されなかった。また、RSUについては、運営のガイドライン、組織体制、所掌・責務について合意に至った。2024年中にRSUが運営を開始できるよう、各RCEP協定締約国に対して、予算上の課題について結論を急ぐよう求めた。

ナピントーン商務副大臣は香港、韓国、中国と会談

タイのナピントーン・シーサッパーン商務副大臣は11月14~15日、米国サンフランシスコで開催されたAPEC関連会合の間、RCEP加盟に意欲を示している香港の丘応樺(アルジャーノン・ヤウ)商務・経済発展局長と会談した。香港側はタイに対して、RCEP参加に向けた支援を求めたほか、タイのスタートアップ向けにインキュベーションプログラムやネットワーキング機会を提案した。タイ側は果物(ドリアン、リュウガン、マンゴスチンなど)、豚肉、ジャスミンライスといった食品の広東・香港・マカオグレーターベイエリア(粤港澳大湾区)に向けた輸出促進や、香港の国際映画・映像見本市「フィルマート」でのタイパビリオンやタイ事業者への支援に期待を示した。

ナピントーン商務副大臣は韓国の安德根・産業通商資源部交渉本部長とも会談した。タイ・韓国の間ではASEAN韓国自由貿易協定(AKFTA)とRCEP協定が締結されているが、2国間FTAを締結することで、これまで以上に関税優遇のメリットが得られるという認識で一致した。2024年早々に開催されるタイ・韓国合同貿易委員会で、FTA交渉の開始を発表すべく、国内の手続きを加速することで合意した。タイは韓国に対して、東部経済回廊(EEC)でのグリーン経済・関連産業(特に次世代自動車、スマートエレクトロニクス、バイオ技術・生化学分野)への投資を求めた。

中国商務部の王受文・国際貿易交渉代表兼副部長との会談では、2024年中に妥結が見込まれるASEAN中国FTA(ACFTA)改正交渉のほか、デジタル経済、グリーン経済での協力強化などが話し合われた。貿易については、タイ側は畜産物(特に生きた牛、豚)の市場アクセスの開放を求めた一方、中国は抗がん剤の対タイ輸出に関心を示した。また、中国はタイに対して、WTOの「開発のための投資円滑化に関する協定(IFD協定)」(注)への参加を促したという。

(注)2023年7月6日にWTOの枠組みで113カ国・地域が妥結した投資環境整備に関連する協定。特に開発途上国と後発開発途上国の投資手続きの透明化・円滑化を目指したもの。

(北見創、シリンポーン・パックピンペット)

(タイ、香港、韓国、中国)

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