2024年の最低賃金を20%引き上げ

(メキシコ)

メキシコ発

2023年12月15日

メキシコの最低賃金委員会(CONASAMI)は12月12日、2024年の最低賃金引き上げ率を前年と同様に20%に決定したことを発表した(12日12日付連邦官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。メキシコの最低賃金は、一般最低賃金と特定業種別最低賃金に分かれ、一般最低賃金は北部国境地帯とそれ以外に大別される。最低賃金の上昇率は、憲法が定める理念を満たすための購買力回復に向けた上昇分(Monto Independiente de Recuperación:MIR)とインフレ考慮分で構成される。CONASAMIによると、北部国境地帯以外の一般最低賃金は現状の日給207.44ペソから248.93ペソ(約2,116円、1ペソ=約8.5円)へと41.49ペソ(27.40ペソのMIRと、6%のインフレ考慮分の合計)引き上げられた(12月12日付官報公示CONASAMI決定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。また、北部国境地帯の一般最低賃金は、現状の312.41ペソから374.89ペソとなり、62.48ペソ(41.26ペソのMIRと、6%のインフレ考慮分の合計)の引き上げとなる。

今回の一般最低賃金引き上げ率について、雇用主側の代表であるメキシコ経営者連合会(COPARMEX)は歓迎している。COPARMEXの12月1日付プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、引き上げ後の一般最低賃金は基礎物資を2人分賄うことができる金額の86%、北部国境地域は130%に達するとした。2026年までは段階的に引き上げ、憲法が定める世帯の基礎物資を賄う最低限の賃金水準を確保することを目指すとした。

最低賃金が一般工員賃金と同水準に

ジェトロの投資コスト比較調査によると、2023年の一般賃金において、最低賃金が20%上昇した影響で、メキシコ全土で一般工員賃金は上昇した。2024年においても最低賃金が20%上昇することにより、インフレ率(2023年11月末時点でのインフレ率4.32%)を考慮した場合、北部国境地帯に限らず、全ての地域で最低賃金の水準との差が小さくなることが予想される(添付資料表参照)。さらに、市民団体の「貧困に立ち向かう市民活動」のロドリゴ・ゴメス・ヘルモシージョ氏は、「貧困ラインを超えるためには、一般最低賃金で月あたり1,500ペソ足りない」と発言しており、さらなる賃上げが必要だと主張した(「レフォルマ紙」12月13日)。2024年以降も賃上げ傾向は続く可能性は高く、一般工員の賃金は最低賃金と同水準となり、企業は労使交渉に関わらず人件費を上げざるを得ない状況になりそうだ。

(阿部眞弘)

(メキシコ)

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