外国人観光客2,000万人誘致へ、「大韓民国観光輸出革新戦略」発表

(韓国)

ソウル発

2023年12月12日

韓国政府は128日、韓悳洙(ハン・ドクス)首相主宰の「第8回国家観光戦略会議」を開催し、「大韓民国観光輸出革新戦略」を発表した。同戦略では、外国人観光客2,000万人の誘致と観光収入245億ドル(注1)を2024年までに達成することを目標に掲げている(注2)。

これらの目標を達成するための戦略として、次の3点を挙げている。

1K-カルチャーと連携した「観光輸出プラス」

  • 団体電子ビザの手数料免除の拡大、事後免税に係る即時返金限度額の引き上げ、交通予約サービスや簡易決済の拡大を通じた利便性向上
  • 海外25カ所で「K-観光ロードショー」開催、コリアビューティーフェスティバルやK-POPコンサートなど大型イベントと連携した商品開発

2)地域コンテンツで「地域観光プラス」

  • 釜山、光州、蔚山、慶尚南道、全羅南道に約3兆ウォン(約3,300億円、1ウォン=約0.11円)を投入し、文化、海洋、保養など、圏域別観光基盤施設を拡充する「南部圏広域観光開発」を推進
  • 「地域観光戦略会議」新設や「圏域別地域観光協議体」運営を通じ、中央と地方との意思疎通・協力、地域観光のガバナンスを強化

3)融合・高付加価値化「産業革新プラス」

  • 医療観光ビザの条件緩和(注3)、韓国を代表する癒しの観光地の選定、ショッピングモールや劇場、ウオーターパークなどがそろう永宗島複合リゾートの新規オープンパッケージ商品開発
  • 宿泊業での雇用許可制の新規適用、旅行業の人材不足解消に向けた支援拡大、「公正共生センター」設置をはじめとした不公正取引対策など観光品質の改善

同会議で韓首相は「今年(2023年)は4年ぶりに外国人観光客1,000万人以上を達成することが期待され、観光市場が回復しているだけに、2024年に韓国観光業界が過去最高の成果を達成すべく、政府は全力を尽くす」と意気込みを語った。

1)新型コロナウイルス禍前の2019年の外国人観光客数は1,750万人、観光収入は207億ドルと、いずれもそれまでの最高を記録していた。

2)日本では、20233月に観光立国推進基本計画外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを策定している。同計画は目標値について、訪日外国人旅行客数を「2025年までに2019年水準(3,188万人)超え」、訪日外国人旅行消費額を「早期に5兆円」(2019年は48,000億円)としている。

3)治療目的が認められる場合、長期医療観光ビザの滞在期間を1年から2年に延長する。

(橋爪直輝)

(韓国)

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