ロシア進出日系企業実態調査、赤字見込みは過去最高を更新

(ロシア)

調査部欧州課

2023年12月06日

ジェトロは12月6日、「2023年度 海外進出日系企業実態調査(ロシア編)」の結果を発表した。2023年の営業利益見込みについて「赤字」と回答した企業の割合は、前年比4.8ポイント増の54.8%だった。前年に続き、本調査を始めた2013年度以降の最高記録を更新した。ウクライナ情勢を受け、「事業停止状態となっているため」といったコメントが多くみられた。「黒字」を見込む企業の割合は5.4ポイント減の30.1%と過去最低を更新した。

前年と比較した2023年の営業利益見込みについて、「悪化」と回答した企業は前年比5.7ポイント減の65.3%だった。理由については「現地市場での販売体制縮小」が51.1%で最大となり、企業側要因が大きく影響した。次いで、「現地市場での需要減少」を挙げた企業が多かった(27.7%)。2024年の営業利益見通しは、「悪化」の割合が前年比17.4ポイント減の40.0%。「改善」の割合は前年比5.8ポイント減の5.7%と2022年の過去最低を更新した。

今後1~2年の事業展開について、「第三国(地域)へ移転、撤退」と回答した企業は14.1%(前年比5.8ポイント増)と、前年に続き過去最高を更新。「縮小」と回答した企業は28.2%(20.1ポイント減)、「現状維持」が53.5%(11.8ポイント増)、「拡大」が4.2%(2.5ポイント増)だった。また、97.3%の企業が西側諸国による対ロ経済制裁およびそれに対するロシアの対抗措置について影響ありと答え、具体的には「日本本社におけるロシアビジネスのプライオリティ低下」(63.4%)、「現地市場での売り上げ減少」(60.6%)といった影響があるとした。

「第三国(地域)へ移転、撤退」を選択しなかった企業61社に現在の状況を尋ねたところ、27.9%の企業が「事業継続意欲があり、仮に情勢が悪化しても残留を希望」、57.4%の企業が「すぐに撤退する計画はないが、情勢を様子見している状態」と回答した。今後の情勢悪化に備えた対策について、「すぐに撤退できるような態勢を整えている」(23.3%)、「安全対策や撤退時に関するマニュアルの策定」(18.3%)が多かった。「対策は特に行っていない」と回答した企業は33.3%だった。

今回の調査は2023年9月に実施した。ロシアに現地法人(日本からの直接投資または間接出資比率が10%以上)や支店の形態で拠点を構えている企業110社に送付し、うち73社(製造業12社、非製造業61社)から回答を得た。調査は2013年度から毎年実施しており、今回で11回目。調査結果の詳細はジェトロ・ウェブサイトに掲載されている。

(後藤大輝)

(ロシア)

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