財の輸入代金支払い可能日を明確にする新制度導入

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2023年12月20日

アルゼンチン中央銀行は12月13日、中銀通達A7917PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を公布し、同日以降に輸入通関される財の輸入代金の支払い可能日を明確にする新制度を導入した。財の輸入に際しては、アルゼンチン共和国輸入システム(SIRA)に登録した輸入申請が「許可(Salida)」の状態になくても、支払い情報を単一外国貿易口座に登録せずに、輸入代金の支払いを認めるとした。しかし、12月14日時点でSIRAは廃止されておらず、アルゼンチン輸入業者会議所(CIRA)によると、SIRAが廃止されるまでは従来の規則が適用される。新たな枠組みについては不明な点もあるため、取引銀行などへの確認が必要だ。

新制度では、輸入品目によって輸入代金の支払い可能日が異なる。これは、外貨準備高が危機的水準にあるためで、中銀は輸入の自由化を段階的に進めるとしている。通達によると、12月13日以降に輸入通関される品目のうち、石油または歴青鉱物油、その調製物や残留物で、メルコスール対外共通関税分類番号(NCM)2709、2710、2713に該当するもの、石油ガスとその他のガス状炭化水素(NCM2711)、発電所が輸入する歴青炭(NCM2701.12.00)、電気エネルギー(NCM2716)は、通関後すぐにFOB建て輸入代金を支払うことができる。

医薬品とその原材料、ヘルスケア関連製品、食料品で、「貿易と為替に関する通達集」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)12.7項に記載のNCMに該当するもの、肥料や植物衛生に関する製品とその原材料で、同通達集12.3項に記載のNCMに該当するものは、通関後から30日暦以降にFOB建ての輸入代金を支払うことができる。

完成自動車(NCM8703)、同通達12.2項に記載されているNCMに該当するいわゆるぜいたく品は、通関後から180日暦以降にFOB建て輸入代金を支払うことができる。

その他の品目については、輸入通関から30暦日後、60暦日後、90暦日後、120暦日後にそれぞれ25%ずつ分割してFOB建て輸入代金の送金ができる。

貿易条件に運賃と保険料が含まれる場合は、上述の支払い可能時期を迎えた時点で運賃と保険料の全額を支払うことができる。

国内金融機関から外国のクレジットラインを使った融資を受けて輸入代金を支払う場合、輸出代金の前受け金、船積み前融資で輸入代金を支払う場合、外国から借入金で輸入代金を支払う場合は、通関前に輸入代金を支払うこともできる。

なお、12月12日までに通関された貨物の輸入代金を支払うには中央銀行の事前承認が必要だ。ただし、国内外の金融機関、国際機関、公的信用機関の融資や保証を受けている輸入代金の支払いや、政令277/2022号(石油、炭化水素の増産のための恩典)、政令679/2022号(知識経済促進制度)の適用を受けた輸入代金の支払いの場合は、事前承認を必要としない。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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