EV購入補助金の対象モデルのリスト公表、中国組み立て車は適用外に

(フランス)

パリ発

2023年12月21日

フランス政府は電気自動車(EV)の新車購入に対する環境報奨金(補助金)制度(注)について12月14日、適用対象モデルのリスト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公表した(政府ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。12月15日から適用した。

政府はEV新車購入に対する環境報奨金の適用条件を改正するデクレ(政令)を10月10日に施行した。これにより、補助金の適用対象はEVの製造・輸送過程の二酸化炭素(CO2)排出量をベースに算定する「環境スコア」が閾値(いきち)を超えるモデルに限定した(2023年9月25日記事参照)。

各過程のCO2排出量については、環境スコアの算定方法に係わるアレテ(省令)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにより国・地域ごとに基準値を設定。例えば、バッテリー製造過程のCO2排出量の基準値は、バッテリー容量1キロワット時(kWh)当たり、欧州が53キログラム、米国55キログラム、中国68キログラム、韓国63キログラム、日本67キログラムと、欧州域外で高く設定された(2023年8月4日記事参照)。

適用対象モデルはフランス、ドイツの自動車メーカーが多数を占める。例を挙げると、ルノーグループではルノーの「ゾエ」「トゥインゴ」「メガーヌ」、ステランティスはプジョーの「208」「308」「e-リフター」やフィアット「500」、フォルクスワーゲン(VW)グループは「ID.3」「ID.4」「ID.5」のほか、グループ傘下シュコダの「Enyaq」が選ばれた。

アジア勢では、韓国の現代「コナ」、日本勢では日産「リーフ」「タウンスター」、マツダ「MX-30」、トヨタ「プロエース・シティ・ヴァーソ」が選定された。米国のテスラは、ドイツで生産されている「モデルY」がリストに入った。適用対象外になったのは中国のEVメーカーMG、BYDのほか、欧州メーカーのブランドでも中国で組み立てられたモデルだった。

欧州電気自動車協会フランス支部(AVERE France)の12月7日の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、11月のEV(乗用車)新車登録台数は、制度改正を見越した駆け込み需要などから、3万775台で、前年同月比で51.8%増となり、同月の乗用車の新車登録台数全体の20.1%を占めた。モデル別にみると、テスラ「モデル3」がトップで6,081台、これに同「モデルY」の3,218台、ダチア(ルノーグループ)「スプリング」の2,557台が続いた。中国MGの「MG4」は1,871台と4位だった。

(注)環境報奨金制度は、EVの新車購入またはリース契約に対し、個人の場合は5,000ユーロ、法人は3,000ユーロを上限に、購入価格の27%を補助する。年間の基準課税所得が1万4,089ユーロ以下の低所得者には2,000ユーロを上乗せし、最大7,000ユーロの補助金を支給している。

(山崎あき)

(フランス)

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