第20回上海知的財産権国際フォーラムが開催

(中国)

上海発

2023年12月19日

第20回上海知的財産権国際フォーラムが12月10日、中国・上海で開催された。フォーラムのテーマは、「知的財産の法的保護を強化し、デジタル経済のイノベーションを後押し」だ。陳吉寧上海市書記、国家知識産権局の申長雨局長、世界知的所有権機関(WIPO)の鄧鴻森総幹事が出席し、開幕あいさつをした。

陳吉寧書記は開幕式で、「統合的な知的財産権サービスプラットフォームの構築、知的財産権のスピーディーな共同保護メカリズムの推進、データ知的財産権登記規則の健全化、先端領域における新しい制度や政策の構築、長江デルタにおける地域を越えた知的財産権保護の共同管理の推進など、より強力的な取り組みを通じて知的財産権の保護を強化する。より効果的なサービスで知的財産権の価値を引き出し、価値の高い特許の育成プロジェクトを実施し、職務科学技術成果(注1)の所有権に関する改革試行範囲を段階的に拡大する。産業データ、特許データを基礎とした特許ナビ(注2)の意思決定メカニズムの改善、高水準の知的財産権サービス機構の集中的発展、技術要素の評価と価値の査定メカニズムの改善を通じ、知的財産権を対象とする投融資サービス体制を整備する」と述べた。

また、フォーラム前日の12月9日には、上海市政府がWIPOと「知的財産権分野における交流・協力強化に関する覚書」を締結した。この覚書について、陳吉寧書記は「これを契機に、より開放的な姿勢で知的財産権における国際協力を強化する。また、上海のWIPO仲裁調停センターの業務拡大を支持する。知的財産権代理分野の対外開放を拡大し、海外知的財産権紛争の警告プラットフォームおよび権利保護支援制度の建設や、知的財産権サービス機構の対外業務の拡大を後押しすることで、企業の海外発展をサポートする」と述べた。

フォーラムでは、国家知識産権局とWIPOが共同執筆した「知的財産権金融国家報告」が発表され、中国が知的財産権金融(注3)の分野における実践と経験を共有した。

今回のフォーラムは国家知識産権局、WIPO、上海市政府が共同主催し、3日間にわたって行われた。フォーラムに出席した国内外のゲストは「データ科学技術イノベーションと知的財産権保護」「デジタル経済における知的財産権の多様な紛争解決メカニズムの挑戦とチャンス」といったテーマについて交流・討論を行った。

(注1)職務科学技術成果とは、研究開発機関、高等教育機関および企業などの組織の業務 上の任務を遂行して、または主に上述の組織の物的、技術的条件を利用して完成した科学技術成果をいう。

(注2)特許ナビとは、特許データを中心に各種データ資源を融合し、産業競争構造、企業経営の戦略、技術革新の方向性などを俯瞰(ふかん)的に分析し、産業計画、企業経営や技術革新の活動などにおける意思決定の精度や科学性を高める、新しい特許情報の応用モデル。

(注3)知的財産権の価値を担保として、銀行や金融機構から融資などの金融サービスを受けること。

(許蓓莉)

(中国)

ビジネス短信 ac08e391fccfbe10