イーロン・マスク氏、米テキサス州オースティンに大学創設構想

(米国)

ヒューストン発

2023年12月20日

米国電気自動車(EV)大手テスラの最高経営責任者(CEO)などを務める起業家のイーロン・マスク氏が、テキサス州オースティンに大学の創設を計画している、と複数のメディアが報じた。マスク氏が約1億ドルを投じ、STEM(科学・技術・工学・数学)教育に重点を置いた初等・中等教育から始め、運営が軌道に乗った後、最終的には最高レベルの教育を行う大学の創設を目指す予定だという(ブルームバーグ12月13日)。

計画中の大学では、伝統的なカリキュラムに加えて、シミュレーションやケーススタディ、ものづくり、デザインなど実践型の体験学習を盛り込む。当初の学生定員は50人で、徐々に規模を拡大する。大学は寄付や授業料を活動の財源とする一方、学生が授業料を支払えない場合には学校側が財政支援を提供する。目下、学校側は運営トップ、教員、事務スタッフの採用を進めている。学校の名称はまだ決まっていない(テキサス・トリビューン12月13日)。

マスク氏のテキサス州での活動が活発化している。同氏は2021年10月に、テスラの本社をカリフォルニア州からテキサス州に移転することを表明。オースティンのEV製造工場ギガ・テキサスでは、2022年4月にミッドサイズSUV(スポーツ用多目的車)「モデルY」、2023年11月にピックアップトラック型EV「サイバートラック」の出荷が始まった。州の南端、メキシコとの国境付近にあるボカチカでは、マスク氏がCEO兼最高技術責任者(CTO)を務めるスペースXの施設で、宇宙船の製造、発射実験が繰り返されている。

マスク氏は2014年、カリフォルニア州のSpaceX敷地内に自身および従業員の子弟のための実験学校「アド・アストラ」を創設した(12月15日CNN、注)。また、2021年には、新大学「テキサス理工科大学」の創設を検討中、とX(旧ツイッター)で発信していた。

(注)アド・アストラの運営は2020年まで。その後、オンライン教育実験中学校のアストラ・ノバに継承されている。

(桜内政大)

(米国)

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