欧州委員会、ギリシャの不良債権削減プログラム「ヘラクレス」再導入を承認

(ギリシャ、EU、ユーロ圏)

ミラノ発

2023年12月18日

欧州委員会は11月28日、ギリシャ政府の要請を受け、ギリシャの銀行の不良債権削減プログラム「ヘラクレス」の再導入を2024年12月末までの期限付きで承認したと発表した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

同プログラム再導入が欧州委に承認されたことを受け、ギリシャ議会は、EUの銀行による不良債権の売却や購入などを規制する債務管理会社および債券購入者に関する指令に沿って、不良債権関連法案を審議し、12月4日に同法案を可決した。

「ヘラクレス」は、国が保証を付与するかたちで不良債権を証券化し、銀行のバランスシート(賃借対照表)から削除することを支援する仕組み。具体的には、独立した民間の証券会社が銀行から不良債権を買い取り、投資家へ債券を販売する際に、国が低リスクの優先債券に対して公的保証を提供することで、幅広い投資家をひきつけて利益を得る代わりに、国は債券の売買にかかる利益を得るという内容だ。

同プログラムは、欧州委が2019年10月に18カ月間限定の措置として承認した後、2021年4月に延長され、2022年10月9日に終了した。

欧州委の発表によると、同プログラム実施の結果、ギリシャの4大銀行は不良債権を大幅に削減させ、2019年9月に42%だった不良債権比率は、2022年末には8.7%に減少したとしている。これは総額約495億ユーロの不良債権の証券化に相当する。

一方、ギリシャ・ローン・サービサー協会は10月23日、9月30日時点で、国内の債務管理会社が管理する不良債権は総額890億ユーロ〔銀行のオフバランスシート(賃貸対照表外)の融資690億ユーロを含む〕と発表した。また、2023年1月から9月までの間で、債務管理会社は公正かつ合意に基づく手続きによって、10万超の債務者から約51億ユーロの債務の返済を取り付けたとしている。

(井上友里)

(ギリシャ、EU、ユーロ圏)

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