バイデン米政権、主要旅客鉄道プロジェクトで加州と近辺の高速鉄道に総額60億ドル超の投資

(米国)

ロサンゼルス発

2023年12月12日

米国のバイデン政権は12月8日、全米の10の主要旅客鉄道プロジェクトに総額82億ドルの新規投資を行うと発表した。外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます投資対象プロジェクトのうち、ネバダ州のラスベガスとカリフォルニア州の(ロサンゼルス近郊の)ランチョクカモンガを結ぶ高速鉄道「ブライトライン・ウエスト高速鉄道システム・プロジェクト」に30億ドルの資金が充てられる(添付資料図参照)。これらは2021年11月に成立したインフラ投資雇用法(IIJA、2021年11月9日記事参照)を根拠としたもので、両都市を結ぶ218マイル(約351キロ)間の新しい旅客鉄道の建設費となる。ラスベガスとロサンゼルス近郊の移動時間は通常、車で5時間ほどかかるが、高速鉄道では2時間弱となる。また、同高速鉄道は全て電力で運営され、開通後には年間1,100万人以上の乗客が見込まれている。年間数百万台の自動車利用による移動が鉄道利用へと切り替わることで、二酸化炭素(CO2)排出量で表すと年間推定40万トンの削減が可能となる。

鉄道の建設時には3万5,000人の雇用創出が見込まれるほか、運営とメンテナンスで1,000人の無期雇用が必要とされるため、地域経済への貢献が期待されている。同プロジェクトは、ロサンゼルス・オリンピックが開催される2028年までの完成を予定しており、世界から集まる観光客や選手が高速鉄道でラスベガスを訪れることを期待している。

このほかにも、バイデン政権はカリフォルニア州の南北を結ぶカリフォルニア高速鉄道計画に30億7,000万ドルを投入すると発表した。カリフォルニア州中部のセントラルバレー地域から南北の都市部へ高速鉄道サービスを提供するとされており、この計画には、マーセドとベーカーズフィールド間の171マイル(約275キロ)の鉄道回廊の設計・延長、新規の高速鉄道車両の調達、フレズノ駅の建設が含まれる。これらは再生可能エネルギーのみを利用した運行を計画しており、ゼロエミッションでの移動が実現するという。

画像 高速鉄道ブライトラインの車両(Brightline提供)

高速鉄道ブライトラインの車両(Brightline提供)

(サチエ・ヴァメーレン)

(米国)

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