サンパウロ州政府、上下水道公社の民営化を決定

(ブラジル)

サンパウロ発

2023年12月20日

ブラジル・サンパウロ州のタルシジオ・デ・フレイタス知事は12月8日、サンパウロ州上下水道公社(Sabesp)を民営化する州令第17,853号を公布した。Sabespはブラジル最大の水道事業者体で、サンパウロ市を含む375自治体、約3,000万人に上下水道サービスを提供している。サンパウロ州政府は同公社の株式50.3%を保有するが、同州令によって株式公募が行われ、州政府の保有率が低くなる予定だ(注1)。

州政府の12月6日付公式サイトによると、Sabespが担当する地域内の農村や貧困地区では約100万人がいまだに上下水道サービスを受けていない。その状況を速やかに是正するための必要な資金を集める方法として、株式公募による民営化が目指されている(注2)。また、低所得者の上下水道利用料金を引き下げるために、「サンパウロ上下水道サービス普遍化支援基金(FAUSP)」が設立される。FAUSPには株式公募で得られた資金の30%が拠出され、補助金として活用される。

州政府は2024年7月までに民営化を完了する予定。

(注1)法案が州議会に提出された2023年10月17日時点では、ナタリア・レゼンデ環境・インフラ・物流局長は同日付現地紙「エスタード」のインタビューで州政府の保有率を15~30%に減らす見込みがあると説明した。

(注2)州政府公式サイトによると、Sabespは当初、農村や貧困地区への上下水道サービス普遍化を実現するためには2033年まで560億レアル(約1兆6,800億円、1円=約30円)の投資が必要としていたが、民営化により、投資金額を660億レアル(約1兆9,800億円)に上方修正している。さらに、上下水道サービスの普遍化の目標時期を2033年から2029年に前倒しで達成できると説明している。

(エルナニ・オダ)

(ブラジル)

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