中銀、政策金利を4回連続で引き下げ、11.75%に
(ブラジル)
サンパウロ発
2023年12月19日
ブラジル中央銀行の金融政策委員会(Copom)は12月13日、政策金利(Selic)を12.25%から0.50ポイント引き下げ、11.75%にすることを全会一致で決定した。これは2022年3月以来の低水準で、金利を下げ始めた8月の会合から4回連続の0.50ポイントの利下げとなる(2023年8月8日記事参照)。今回の決定は市場において予想されていた動きで、中央銀行は今後の会合でも同規模の利下げを続ける可能性があると示唆している。政策金利の引き下げによって、投資や消費が促進され、経済成長に寄与することが期待されている。
ブラジルの年間インフレ率は11月に4.68%に低下し、中央銀行の目標範囲(1.75%~4.75%)内に収まった。このインフレ率の低下は、中央銀行による利上げ効果が遅れて表れていることや、国際市場で原材料価格が安定し、サプライチェーンが改善していること、政府の財政政策が効果を上げていることなど、複数の要因によるものとみられる。一方で、中央銀行はインフレの再燃を警戒しており、今後の政策の方向性は、経済データや国際情勢によって変わる可能性があるとし、特に、世界経済の見通しや国際商品市況の動向、国内の雇用状況や消費者信頼感などを重要視している。
産業界では、より速いペースでの利下げを望む声もあり、ブラジル工業連盟(CNI)のリカルド・アルバン会長は12月13日、「エスタード」誌のインタビューにおいて「インフレ抑制のシナリオは、政策金利をより速いペースで引き下げることを十分に正当化するもので、企業や消費者が負担する経済的コストをより大幅に削減するためには、より積極的な取り組みが必要だ。CNIはこのより速いペースの利下げが次回のCopom会議で行われることを望んでいる」と発言している。
(中山貴弘)
(ブラジル)
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