EU、対ロシア制裁第12弾を採択、ロシア産ダイヤモンドを輸入禁止に

(EU、ロシア)

ブリュッセル発

2023年12月22日

EU理事会(閣僚理事会)は12月18日、第12弾となる対ロシア制裁パッケージを採択した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。今回の制裁パッケージの目玉は、ロシア産ダイヤモンドの輸入禁止だ。輸入禁止の対象には、非工業用の天然・合成ダイヤモンド、ダイヤモンドジュエリー(宝飾品)が含まれる。ロシアからの対象製品の輸入は2024年1月から禁止される。また、他のEU域外国で加工(切削や研磨など)されたロシア産ダイヤモンドや、他の域外国でロシア産ダイヤモンドを埋め込んだ宝飾品は、2024年3月から順次輸入が禁止され、同年9月から完全に禁止となる。

このほか、第12弾制裁パッケージに含まれる主な内容は次のとおり。

  • EUの輸出事業者に対して、航空、ジェット燃料、銃器など軍事利用される可能性の高い特定の機微製品・技術を域外国(パートナー国を除く)に販売、供給、移転、輸出する際の契約に、ロシアへの再輸出禁止条項を含めることを義務付ける。
  • 民生用と軍事用の両方に使われる可能性がある二重用途品の規制対象製品を拡大。化学品、リチウムバッテリー、サーモスタット、ドローン用のDCモーター、サーボモーター、その他機械部品などを追加する。EUからロシア経由の域外国への輸出規制対象となる二重用途品も拡大する。
  • 二重用途品などに関して、より厳格な規制の対象となる団体の一覧に、ロシア軍・軍事産業を支援する29団体を追加する。これには、ロシア以外に、ウズベキスタンやシンガポールの団体も含まれた。
  • ロシアの重要な収入源となる製品の輸入制限を強化する。これには、銑鉄・スピーゲル、銅線、アルミニウム線・ホイール・パイプが含まれる。このほか、一部の液化石油ガス(LPG)については、12カ月の移行期間後に輸入を禁止する。
  • 経営管理や工業用設定・製造に関連するソフトウエアをロシア政府・企業に提供することを禁止する。
  • ロシア産原油に上限価格を設定する規制(2022年12月6日記事参照)に関して、迂回防止策を強化する。EUの事業者が第三国にタンカーを販売する場合に加盟国当局に通知することのほか、ロシアの個人・団体への販売や、ロシアでの使用を目的とした販売の場合には、加盟国当局に通知の上で承認を得ることをそれぞれ義務付ける。

EU域内の資産凍結、資産提供の禁止、入域禁止の対象となる個人・団体についても、ロシアの軍関係者や企業などを中心に61人と86団体を新たに指定した。これには、ロシアの軍事企業のほかに、大手保険会社、IT企業、テレビ局なども含める。これにより、合計で約1,950の個人と団体が制裁対象となった。

(吉沼啓介)

(EU、ロシア)

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