熊本のフラッグス、インドネシア向けトイレシートの輸出に成功

(熊本、インドネシア)

熊本発

2023年12月19日

フラッグス(熊本県熊本市)は、企画開発を手掛けるトイレシート「アドレット」(注1)のインドネシア向け輸出に成功した。ジェトロは同社に対し、2021年度から新輸出大国コンソーシアム事業を通じて、海外展開支援の専門家を派遣するなど支援を提供してきた。

アドレットは、トイレのふたの内側に貼り付けるシート型の製品で、消臭・抗菌・抗ウイルス機能を持つ。同社海外営業担当の内田公大氏によれば、「シートを貼ることで、トイレの水を流した際に発生するエアロゾル(微粒子)の飛散の軽減を図ることができ、かつ、シートのデザインの工夫により、視覚的にトイレのふたを閉めて水を流すことを啓発できる」という。

写真 現地代理店メンバーとフラッグス海外営業担当の内田公大氏(内田氏は右から2人目、フラッグス提供)

現地代理店メンバーとフラッグス海外営業担当の内田公大氏(内田氏は右から2人目、フラッグス提供)

内田氏は、2023年11月にジャカルタに出張営業に出向いた。帰国後の12月7日、ジェトロのインタビューに対して「これまで病院などで有償サンプルの提供実績はあったが、今回の出張を機に、工場や病院などいくつか継続的な納品先が決まった。今後の成約が期待できる取引先もあるので、前向きに取り組んでいきたい」と語った。同社は2017年からアドレットの開発・販売を手掛け、これまで日本国内の行政施設、学校施設、公共交通機関などのほか、販売代理店を通じて日本国内の一般家庭に販売してきた。一方、インドネシア輸出に向けては、2022年に、同国の医療機器カテゴリー・家庭用健康用品(PKRT)販売許可を取得したほか、アドレットのインドネシア語版を開発するなど準備を進めてきた。販売許可取得に苦戦もしたが、現地販売代理店と密にコミュニケーションを取りつつ、インドネシア保健省に求められた情報に都度、粘り強く対応・説明することで、販売許可取得にたどり着いた。内田氏は「インドネシアにおける感染予防意識はこれから高まっていく余地があり、アドレットがそのきっかけになることを期待している」とした。今後、日系企業の現地工場などにも売り込み、同国での販路拡大を狙う。

画像 日本語版アドレットのデザインの例(フラッグス提供)

日本語版アドレットのデザインの例(フラッグス提供)

画像と写真 インドネシア語版アドレットのデザインと活用現場(フラッグス提供)

インドネシア語版アドレットのデザインと活用現場(フラッグス提供)

インドネシアは、人口2億7,870万人(2023年推計値)と世界4位の大きな市場規模を有することに加え、実質GDP成長率は2022年に5.3%で2013年(5.6%)以来の高い水準となるなど、今後の成長も期待される。ジェトロが2022年に実施した日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査(注2)においても、今後事業拡大を図る国・地域で上位6位に入るなど、日本企業の事業拡大意欲も高い。

(注1)アドレット外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますはフラッグスの登録商標。

(注2)調査結果はジェトロ調査レポートを参照。

(平松耕介)

(熊本、インドネシア)

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