高級百貨店ハロッズで日本産果物の販売開始

(英国、日本)

ロンドン発

2023年12月22日

英国・ロンドンの高級百貨店ハロッズで12月21日、日本産果物の販売が開始された。輸入を手掛けたアバンチ・アジア(以下「アバンチ」)のゲイリー・ファン氏は「日本産果物がハロッズで販売されるのはおそらく初めてのことで、歴史をつくることができた」と語った。

アバンチは、日本の果物貿易商社の新亜商事と連携して日本産果物の英国向け輸出に取り組み、これまでにもロンドンの高級レストラン・小売店への日本産果物の販売を行ってきた。そうした実績を足掛かりにハロッズとの9カ月に及ぶ交渉を経てクリスマス前の販売開始に至った。

第1弾として、栃木県産イチゴ(スカイベリー)と奈良県産紅白イチゴ(古都華・淡雪)が1パックそれぞれ35ポンド(約6,335円、1ポンド=約181円)、40ポンド(約7,240円)で販売開始となった。なお、同じコーナーで販売されていたエジプト産イチゴは1パック8ポンド(約1,448円)で販売されていた。2024年1月からは静岡県産クラウンメロンも販売開始予定で、2024春以降、サクランボ、桃、ブドウなど、季節ごとに旬の果物を販売し、ハロッズの1コーナーで日本産果物が常設販売される予定だ。

写真 日本産いちごの商品棚(ジェトロ撮影)

日本産いちごの商品棚(ジェトロ撮影)

クリスマス前でハロッズの店舗内が大勢の人々でにぎわう中、日本産の2種類のイチゴが棚に陳列されると、すぐに家族連れの男性客が商品を手に取り、店主から商品説明を受けて購入を決めた。購入者に話を聞いたところ、「日本を訪れたこともあり、日本のことが大好きだ」と話した。

写真 商品を手に取る来店客(ファン氏提供)

商品を手に取る来店客(ファン氏提供)

アバンチが扱う日本産果物は、これまで東京の大田市場からの調達が基本だったが、今回、ハロッズとの取引に当たり、安定的な品質管理とブランディングのため、奈良県の奈良いちごラボと直接取引したいとジェトロに紹介の相談があり、同社のイチゴがハロッズの第1弾の商品として並ぶこととなった。

写真 ショーケースにディスプレーされる奈良県産いちご(ジェトロ撮影)

ショーケースにディスプレーされる奈良県産いちご(ジェトロ撮影)

ファン氏は「今後、日本の果物産地を訪れて生産現場を見ることで、ハロッズなどの取引先に対して日本産果物の良さをよりよく伝えられるようにしたい。自分の目で確かめた最上級の日本産果物の直接取引を増やしていきたい」と述べた。また、「ハロッズでの販売は第1歩であり、バッキンガム宮殿(英国王室)への日本産果物の供給を目指したい」とさらなる展望を語っていた。

(林伸光)

(英国、日本)

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