バイデン米大統領、ウクライナ大統領と会談、支援予算の議会交渉は難航

(米国、ウクライナ、ロシア)

ニューヨーク発

2023年12月14日

米国のジョー・バイデン大統領は12月12日、首都ワシントンでウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領と会談した。同大統領の訪米は、ロシアの侵攻を受けるウクライナを支援するという米国の決意を強調するため、バイデン大統領が招請した。

ホワイトハウスの発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、両大統領は会談で、ロシアの侵略に対抗するウクライナの2024年の計画も含めた自衛策について協議した。バイデン大統領は、ウクライナへの新たな軍事支援外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを伝え、ウクライナを継続的に支援するために米国連邦議会の早急な行動が必要だとあらためて強調した。ゼレンスキー大統領は、ウクライナによる黒海回廊を利用した穀物などの輸出が、世界の食糧安全保障の懸念を緩和し、ウクライナの課税基盤に貢献していると説明した。

バイデン政権は10月、連邦議会に対し、ウクライナ支援のための614億ドルを含む追加予算を要請した。政権はウクライナ支援予算が2023年内に底を尽くとの見通しも示している。しかし、共和党は予算承認の条件として移民政策の厳格化などを要求しており、議会交渉は難航している状況だ。ゼレンスキー大統領は今回、上下院の民主・共和両党の指導者らとも会い直接支援を訴えたが、共和党議員からは議会が国境対策で合意することが先決などと伝えられたとされる(ブルームバーグ12月12日)。

バイデン大統領はゼレンスキー大統領との会談後の会見で、追加予算がなければ、ウクライナを支援できなくなると訴え、あらためて議会に追加予算の承認を求めた。バイデン政権は上院の民主、共和両党と議論し、移民政策の変更と国境警備への予算手当ての両面で超党派の妥協点を見いだそうとしていると説いた。共和党に歩み寄りを呼びかけた格好だが、マイク・ジョンソン下院議長(共和党、ルイジアナ州)はゼレンスキー大統領との会談後、ウクライナへの支持を表明しつつも、同国勝利のための戦略の明確化や国境対策の改革が必要と強調し、バイデン政権側に対応を迫った。また、上院のミッチ・マコーネル少数党院内総務(共和党、ケンタッキー州)は、たとえ追加予算に合意できたとしても、2023年内に法案を成立させるのは「事実上不可能」との考えを示し(政治専門紙「ザ・ヒル」電子版12月12日)、交渉の行方は不透明となっている。

(甲斐野裕之)

(米国、ウクライナ、ロシア)

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