新型コロナ感染者数が12月に入り急増、マスク着用推奨も行動制限は行わず

(マレーシア)

クアラルンプール発

2023年12月22日

マレーシアでは12月に入って以降、新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の感染者数が急増している。12月10日から16日にかけて国内では2万696人の感染者が確認され、前週から62.2%増と拡大した(12月18日付保健省プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、マレー語のみ)。1日当たりの感染者数も、9月時点では100人を下回る日もあったところ、12月14日には3,923人を記録した。

これに対し、保健省は、新型コロナのパンデミック初期にマレーシア政府が実施していた活動制限令(MCO)を再び取り入れる考えはないと表明した。12月18日に会見したズルキフリ・アフマド保健相は、警告システム(HAS)による感染の早期確認や、「TRIIS(検査、報告、隔離(注)、情報共有、医療機関での受診)」の実施により、感染を管理する方針を示した。また、「3W(手洗い、マスク着用、用心)」を徹底し、「3C(人混み、密室、近距離での会話)」を避けるよう注意喚起した。

加えて、保健省のムハマド・ラジ・アブ・ハッサン保健局長は同日、「感染拡大は世界的な現象で、今後さらに増加する」と見通しつつ、感染状況は管理され制御下にあることから4~6週間で収束に向かうとの見方を示した。また、高齢者や基礎疾患のある高リスク者に推奨している新型コロナワクチンの追加接種について、ワクチンの在庫量は十分だと強調した。12月20日に同省は、現在国内では234のワクチン接種施設が稼働中で、政府の新型コロナ対策アプリ「MySejahtera(マイセジャテラ)」を通じた接種予約ができるほか、ウォークイン接種も可能だと呼びかけた。

公共交通機関ではマスク着用推奨、自発的に義務化する動きも

関連して、アンソニー・ローク運輸相は12月19日、感染者増を受け、マスク着用に関する方針策定は保健省の管轄だと断った上で、公共交通機関でのマスク着用を推奨する考えを示した。同相によると、現時点では公共交通機関でのマスク着用は義務化されておらず、個人の判断に委ねられる。ただ、特に12月半ば以降、クアラルンプール市内でもマスクを着用する市民の姿が増えている。

なお、12月14日以降、ケダ州の入国管理局窓口は、職員と来訪者へのマスク着用を義務付けている。19日に同局はフェイスブックで、「全職員と来訪者はマスクを着用する必要がある」と説明した。また、ホリデーシーズンの到来と混雑も見据え、従業員や顧客にもマスク着用を推奨する小売店や飲食店の事例も報道されている。このように自主的に着用を推奨あるいは義務化する動きも出ているため、念のためマスクは常時保持しておくのが肝要だ。

(注)マレーシアでは現在、陽性反応が出た日から起算して5日間の自宅隔離が必要(保健省ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、マレー語のみ)。

(吾郷伊都子)

(マレーシア)

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