世界デジタル競争力ランキング、スイス5位、日本は32位へ後退

(スイス、世界)

ジュネーブ発

2023年12月05日

スイスの国際経営開発研究所(IMD)は11月30日、7回目となる世界デジタル競争力ランキング2023外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。2017年の調査開始以来、5回目まで首位を維持していた米国は、前年調査では2位となったものの、再び首位に返り咲いた。オランダ、シンガポール、デンマークに続き、スイスは前年同様に5位を維持した。日本は前回調査から3つ順位を落とし、32位となった(添付資料表参照)。

同ランキングは、64カ国・地域を対象に、政府・企業・社会の変革につながるデジタル技術を導入・活用する能力を、(1)知識:人材や教育・訓練、科学に対する取り組み、(2)技術:規制および技術の枠組みと資本、(3)将来への準備:デジタルトランスフォーメーション(DX)に対する社会の準備度合い、の3点からランク付けし評価するもの。評価基準のうち3分の2が測定可能な数値データを、3分の1が企業・政府幹部の調査回答を基にしている。

項目別にみると、スイスは3要素のうち「知識」では前年に引き続き首位を維持し、「技術」「将来への準備」では前年から順位を上げ、全体順位は5位を維持した。上級管理職の国際経験、高度外国人材、科学研究に関する法律によるイノベーション振興、知的財産権の適切な行使、産学間の知識移転の発達が特に強みとされたが、研究開発(R&D)支出(GDP比)に対する科学論文数、契約の履行、IT・メディア分野の株式時価総額、100人当たりの無線ブロードバンドの普及率、国民・政府間のやり取りを促進するオンラインサービスの活用については弱みと分析された。

日本は、「知識」は前年と同順位(28位)を維持したが、「技術」「将来への準備」で順位を下げ、全体順位が低下した。高等教育における教師1人当たりの学生数、100人当たりの無線ブロードバンドの普及率、国民・政府間のやり取りを促進するオンラインサービスの活用、世界のロボットに占めるシェア、ソフトウエア違法インストールの割合では高評価を得たものの、上級管理職の国際経験、デジタルスキルの習得、企業の機会と脅威に対する対応の速さ、企業の俊敏性、ビッグデータや分析の活用では低評価となった。

前年調査から5つ以上、大きく順位を上げたのは、ベルギー(15位、前年調査との順位の変化8)、チェコ(24位、同9)、サウジアラビア(30位、同5)、タイ(35位、同5)、ポーランド(39位、同7)、インドネシア(45位、同6)だった。

(深谷薫)

(スイス、世界)

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