10月のGDP成長率は前年同月比5.0%、製造業が牽引

(ロシア)

調査部欧州課

2023年12月11日

ロシア経済発展省の発表(11月29日)によると、2023年10月の実質GDP成長率(推計値)は前年同月比5.0%(前月より0.6ポイント減)だった(添付資料表参照)。小売りや農業の回復、ウクライナ侵攻後に急減した製造業の反動増の影響が続き、プラス成長となった。

10月の鉱工業生産は前年同月比5.3%増だった。鉱業の伸び率は前月から0.6ポイント増の0.1%減だった。このうち、石炭採掘が2.2%増(前月より0.1ポイント増)、金属資源採掘が0.5%減(1.2ポイント増)、その他の資源採掘15.7%減(10.0ポイント減)、鉱業分野のサービスが6.3%増(2.6ポイント増)だった。

製造業の伸び率は前月から1.4ポイント減の前年同月比9.5%増だった。機械製造業が自動車、コンピュータ・電子機器の回復を背景に28.2%増(前月より7.7ポイント減)、冶金(やきん)・金属加工業が9.4%増(2.2ポイント減)となったことが製造業全体の伸びに寄与した。

連邦国家統計局によると、10月の乗用車生産台数は前年同月比58.4%増の5万9,200台だった。1~10月では前年同期比8.1%増の41万7,000台となった。自動車調査会社アフトスタト(11月3日)によると、10月の乗用車新車販売台数は前年同月比2.6倍の11万2,238台だった。1~10月では前年同期比60.1%増の82万9,548台となった。

建設業は前年同月比3.2%増(前月より5.2ポイント減)とプラスで推移している。農業は5.5%増(7.2ポイント減)だった。貨物輸送は2.8%増(1.1ポイント増)となった。

労働市場は安定しており、10月の失業率は2.9%だった。9月の実質賃金は前年同月比7.2%増だった。

小売商品売上高は前年同月比12.7%増(前月より0.5ポイント増)となった。

ミハイル・ミシュスチン首相は国内の経済について、外的要因による影響の中でも成長を続けており、1~10月は主に製造業が成長を牽引したと説明した(フィンマーケット 11月30日)。

ロシアの公式GDP統計は、四半期別と年別について連邦国家統計局が、推計値として月次の成長率は経済発展省がそれぞれ発表している。

(小野塚信)

(ロシア)

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