主要都市・県の2024年の最低賃金、大半の地域で上昇率は4%未満

(インドネシア)

ジャカルタ発

2023年12月20日

インドネシアの2024年の最低賃金(UMK、県・市別最低賃金)が11月30日までに発表された。現地報道などから主要な県・市の状況を取りまとめた結果、2024年の最低賃金が最も高い地域は西ジャワ州ブカシ市で、月額534万3,430ルピア(約4万9,694円、1ルピア=約0.0093円)、前年比3.59%の上昇となる(添付資料表参照)。

最低賃金の上昇率は、ジョグジャカルタ州で前年比7.27%増、東ジャワ州で6.13%増となったが、日系企業の進出が多い西ジャワ州を含む多くの地域で4%未満となり、上げ幅は前年(6~7%)よりも緩やかだ。2023年に最低賃金が最も高かったのは西ジャワ州カラワン県だったが(2022年12月20日記事参照)、ブカシ市が逆転した。

2024年の最低賃金の算出は、賃金に関する政令(2021年第36号)の改正令(2023年第51号)に基づき、「インフレ率+(経済成長率+特定の係数)」で算出される。特定の係数に当たるアルファは、0.10~0.30の間で地方の賃金委員会が定めることとされていた(2023年12月1日記事参照)。

一方、最低賃金決定期日である11月30日を前に、ブカシ県は前年比13.99%増(DISWAY「11月24日」)、カラワン県は12.00%増(「コンパス」11月23日)と、一部地域では労働組合などの要望を踏まえ、特定係数上限を超えた大幅な引き上げを西ジャワ州知事に提案していた。これに対し、11月28日にインドネシア経営者協会(APINDO)の西ジャワ州支部長のニン・ワユー・アスタティック氏が「政令を無視して県・市最低賃金にかかる提案を行った県知事や市長がいる」と批判する(「ジャカルタグローブ」11月28日)など、経営者側からの懸念の声が示され、最低賃金の決定には注目が集まっていた。

(八木沼洋文)

(インドネシア)

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