第3四半期の米貿易収支、輸入額が5四半期ぶりの前期比増、原油価格上昇が影響

(米国、日本、中国、メキシコ)

ニューヨーク発

2023年12月26日

米国商務省が12月20日に発表した2023年第3四半期(7~9月)の貿易統計外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(国際収支ベース、季節調整済み)によると、輸出(財・サービス)は前期比2.9%増の7,686億ドル、輸入は0.3%増の9,533億ドルだった(添付資料表1、図参照)。輸入の増加は5四半期ぶりとなる。一方で、輸出の増加が輸入の増加を上回ったことから、赤字額は191億ドル減少して1,847億ドルとなった。財、サービスの内訳では、財が2,610億ドルの赤字、サービスが762億ドルの黒字だった。

財貿易を見ると、輸出が前期比3.8%増の5,164億ドル、輸入が0.6%増の7,774億ドルだった(添付資料表2参照)。輸出では、エネルギー関連製品、医薬品、掘削用機械、輸入でも、エネルギー関連製品、医薬品、自動車用部品(エンジン以外、カナダ以外)などが押し上げ要因となった。

輸出入におけるエネルギー関連製品の増加は、取引量の増加と、原油価格の上昇が影響した。第3四半期の平均原油価格(WTIスポット)は前期比11.6%増加し、1バレル当たり82.30ドルで、2022年第2四半期(4~6月)以降、5四半期ぶりの前期比増となった。

財貿易を主要国・地域別に見ると、輸出では、EUが前期比6.5%増の975億ドルと、最大の押し上げ要因になった(添付資料表3参照)。次いで、メキシコが6.3%増の822億ドル、アジアNIES(注)が4.7%増の449億ドルだった。輸入では、EUが前期比3.9%増の1,462億ドルで、最大の押し上げ要因になった。次いで、アジアNIESが7.2%増の655億ドル、メキシコが2.6%増の1,220億ドルだった。

対中貿易は輸出入ともに減少。また、輸入の減少額が輸出の減少額を上回り、赤字幅は708億ドルに縮小した。中国からの輸入額は2022年第1四半期(1~3月)をピークに減少傾向で、2022年第4四半期(10~12月)にはメキシコからの輸入額を下回った。以降、メキシコとの輸入額の差は広がる傾向にある。対日赤字は前期とほぼ変わらずの179億ドルだった。

なお、商務省が12月6日に発表した10月の貿易統計外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、輸出(財・サービス)は前月比26億ドル減少して2,588億ドル、輸入は同5億ドル増加して3,230億ドルとなった。輸出は宝石や医薬品などの消費財が押し下げ要因となり、輸入はコンピュータや掘削機械などの資本財が押し上げた。米国調査会社ハイ・フリークエンシー・エコノミクスのチーフ米国エコノミスト、ルビーラ・ファルキ氏は「国内外の需要と成長が鈍化する傾向にあることを考慮すると、今後の貿易の流れに対する見通しは、おそらく控えめなものになるだろう」と述べた(「インダストリー・ウイーク」電子版12月6日)。

(注)新興工業経済地域(NIES)。アジアでは韓国、台湾、香港、シンガポール。

(大原典子)

(米国、日本、中国、メキシコ)

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