10~11月上旬の経済活動は微増、UAWストライキは新車販売・在庫に影響ほぼなし、米シカゴ連銀ベージュブック

(米国)

シカゴ発

2023年12月01日

米国連邦準備制度理事会(FRB)が11月29日に公表した地区連銀経済報告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(ベージュブック、注1)の中で、米国中西部の一部地域(注2)を管轄するシカゴ連銀は、10月から11月上旬にかけての同地域の経済活動について、全体的にわずかに増加したと報告した。関係者は引き続き、今後1年間の消費需要は小幅に減少すると予想しており、また、多くの関係者が景気後退の可能性に懸念を示した。

同地域の経済活動を分野ごとにみると、雇用は緩やかに増加し、関係者は今後1年間も同程度の増加率を予想している。一部の製造業は引き続き熟練技能者確保が困難と報告した一方、建設、不動産、金融の関係者の一部は求人情報を削除したり、人員削減を計画したりしていると報告した。

個人消費はわずかに減少した。自動車以外の小売売上高はわずかに増加した。新車販売は減少したが、9月15日に開始された全米自動車労働組合(UAW)のストライキを考慮した場合、予想よりも好調に推移しており、複数のディーラーは、ストライキの影響はほとんど見られなかったと報告した。

企業支出はわずかに増加した。設備投資はわずかに増加したが、金利の上昇と融資基準の厳格化により、金融情勢が緩和するまで投資を控えるとの意見も多かった。在庫に関しては、小売業者の在庫はほぼ望ましい水準となった。また、UAWのストライキは自動車在庫全体にほとんど影響がなかったとの報告があった。

製造業の需要は控えめに減少した。建設、自動車、医療セクター向けなどの鉄鋼や金属加工品の受注の減少が目立った。自動車生産台数は、UAWのストライキによって、報告期間中平均して減少した。

同地区での報告期間中の農業所得は、経費と予想収入の両方が減少したため、ほとんど変化がなかった。広範囲での干ばつにもかかわらず、トウモロコシや大豆、トマト、小麦など、複数の州や作物の種類で記録的な収穫量の報告があった。

地域社会の状況について、自治体、非営利団体、中小企業は経済活動全体にほとんど変化はないと報告した。州政府関係者は、税収の伸びはやや減少したが、失業保険の需要は引き続き低水準と報告した。

個々の調査対象項目ごとの詳細は添付資料表参照。

(注1)連邦公開市場委員会(FOMC)の開催に先立ち、年8回公表しており、銀行からの報告や、ビジネス関係者などの声を基にまとめたもの。

(注2)アイオワ、イリノイ北部、インディアナ北部、ウィスコンシン南部、ミシガン南部。

(星野香織)

(米国)

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