海運大手マースク、中央アジアでコンテナ輸送事業拡大

(ジョージア、コーカサス、中央アジア、中国)

タシケント発

2023年11月28日

20222月のロシアによるウクライナ侵攻開始以降、CIS圏、特に中央アジアを取り巻く物流事情は大きく変わった。デンマーク・コペンハーゲンに本拠を置く世界的海運コングロマリットのマースクは、中央アジア向けサービスを拡大させている。同社の中央アジア・コーカサス地域ビジネス開発責任者のイラクリ・ダネリア氏(在ジョージア・トビリシ)に話を聞いた(1031日)。

写真 マースクのイラクリ・ダネリア氏(ジェトロ撮影)

マースクのイラクリ・ダネリア氏(ジェトロ撮影)

(問)ウクライナ紛争発生後のビジネスの方向性の変化について。

(答)ロシアのウクライナ侵攻開始以降、当社はロシアとベラルーシでの事業閉鎖を決定し、資産を売却している。それまでモスクワ事務所が中央アジア地域を担当していたが、現在はジョージア・トビリシ事務所が中央アジア地域の担当になった。外洋を持たない中央アジア諸国で、当社は船会社としてだけでなく、世界的な物流企業として、その他の国々との間の輸送ソリューションを提供することを重視している。

(問)中央アジアでの活動拡大について。

(答)2023年にカザフスタンのアルマトイに拠点を開設し、同年9月にはアルマトイ近郊にコンテナターミナルも確保した。同時期に中国・西安、カザフスタン、カスピ海、アゼルバイジャン、ジョージアのポティ港を結ぶコンテナ複合輸送サービスの提供を発表している。既に500本近いコンテナを輸送している。今後は3段階に分けて活動を拡大する計画だ。まず第1段階として、カザフスタンとウズベキスタンにコンテナターミナルを含む拠点を確保する。第2段階でトルクメニスタンでの活動を強化し、第3段階ではキルギスとタジキスタンへの輸送サービスを提供する。カザフスタンとウズベキスタンにコンテナターミナルを設置することで、荷主は輸送後に空コンテナを返却するコスト負担から解放されるだろう。さらに、肥料をはじめとする中央アジアの主要輸出品目をバルク輸送からコンテナ輸送にシフトすることで、中央アジア地域とその他の地域の輸出入量の不均衡が解消され、貨物の流れがより良くなることを期待している。

(高橋淳)

(ジョージア、コーカサス、中央アジア、中国)

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