日系企業「半導体ミッション」、GJ州ドレラ特別投資地域を現地視察

(インド)

アーメダバード発

2023年11月16日

国際協力銀行(JBIC)とジェトロは1189日、インド・グジャラート(GJ)州で日系企業向けの「ドレラ特別投資地域(SIR)視察ミッション」を開催した。同ミッションはテーマを半導体関連産業に絞り、日本、インド、シンガポールから、半導体製造およびテスト・パッケージング、部品製造、製造設備・装置、メンテナンスサービス、素材、生産財、物流、商社、金融機関など38社の60人が参加した。

初日は、ドレラSIR(注)の電力、水処理など関連施設、工業用水路、半導体産業向け工業用地などのインフラ整備状況を視察した。国家産業回廊開発公社(NICDC)、ドレラ産業都市開発公社(DICDL)、グジャラート州エレクトロニクス・ミッション(GSEM)などより、半導体産業の集積に向けたメガ太陽光発電、共用排水施設、海水淡水化設備などの整備状況や半導体分野での投資インセンティブの解説も行われた。このほか、アーメダバードと結ぶ主要幹線道路をはじめ、貨物専用高速鉄道、メトロ(地下鉄)、国際空港、港湾などとの「連結性の飛躍的な改善」を意識した諸事業が急ピッチで進行していることも説明された。

写真 用水路整備状況につき説明を聞くミッション団(ジェトロ撮影)

用水路整備状況につき説明を聞くミッション団(ジェトロ撮影)

2日目は、「ラウンドテーブル」形式がとられ、連邦政府の電子・IT省傘下のインド半導体ミッション(ISM)やインベスト・インディアから半導体政策の説明が行われた。JBICがインドの半導体分野における業務方針や融資スキームを示したほか、大手財閥タタ・グループやベダンタが事業を説明した。持ち株会社タタ・サンズのタニア・ロイ・チョードリー統括部長(GM)は「現在、半導体組み立てとテスト分野は最優先事項であり、適切な技術パートナーと提携する機会を常に模索している」と述べた。ベダンタのカピル・シャルマ戦略責任者は「ドレラSIRでの完全統合型の半導体工場の設立に向け、世界的な大手企業数社とさまざまなレベルで交渉中」と述べ、「タタ・エレクトロニクスとも協業していきたい」と語った。両社ともに「日本の半導体関連企業との協力を期待している」と呼びかけた。

ジェトロ・ニューデリー事務所の鈴木隆史所長は「ドレラSIRでの半導体ハブ構想においては、『日系半導体製造コア企業』の投資誘致に着目するだけでなく、部品・部材・生産財の供給、半導体製造集積地に要求される高品質の産業インフラ(水、空気、電気、道路、鉄道など)の整備、設備やメンテナンスなどのサービス提供、特殊物流網構築(精密輸送)、環境関連技術、日本人向けの住環境整備など、幅広い関連分野において日本企業が得意とし競争力を有する分野がある。日系企業が貢献すべきこれらの役割に注目し、ビジネス機会を作っていく必要がある。同様に、インド政府側も視野を広げる必要がある」との見解を示した。

(注)ドレラSIRは、国家産業回廊開発公社(NICDC)が「デリー・ムンバイ産業大動脈構想」(DMIC)の最重要ノードと位置付けている特別投資地域。グリーンフィールドからのスマートシティ開発計画として、工業団地と居住地域の都市整備が進んでおり、最近ではGJ州が他州に先駆けて半導体製造産業の集積を目指す「半導体・エレクトロニクスハブ構想」で注目を集めている。

(古川毅彦)

(インド)

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