政策金利を3回連続で引き下げ、下げ幅は縮小

(チリ)

サンティアゴ発

2023年11月10日

チリ中央銀行は10月25~26日に行われた金融政策決定会合で、政策金利をこれまでの9.5%から50ベーシスポイント(0.50%相当)引き下げ、9.0%とすることを全会一致で決定した(添付資料図1参照)。利下げは7月と9月の会合に続き3回連続の引き下げとなるが、下げ幅は前回会合に比べて25ベーシスポイント縮小した。

中銀は、利下げ幅の決定に影響を与えた要因として、世界的な金融市場の緊張の高まりと地政学的リスクの高まりを挙げている。現地エコノミストらの予想では75ベーシスポイントの下げ幅が見込まれていたものの、中銀の下げ幅は予想を下回った。これは、米ドルに対するチリ・ペソ安の進行によるインフレ圧力への懸念のためとみられている。

チリ統計局(INE)によると、10月の消費者物価上昇率は前月比0.4%、前年同月比5.0%だった(添付資料図2参照)。国内のインフレはピーク時の14.1%(2022年8月、前年同月比)から減少傾向にあるが、地政学的リスクや原油産出国による原油の減産により燃料価格が再び上昇しており、食品や飲料の価格も上昇した。中銀によると、国内の経済活動の停滞により失業率も上昇傾向にあり、家計や企業の期待は依然として悲観的となっている。

中銀は、国内のマクロ経済シナリオは9月の金融政策報告書の予想に沿って進展しており、今回の利下げが、世界的な動向を考慮した上で、国内のインフレ目標値である年率3.0%へ収束させるためのシナリオに一致するものと推定している。加えて、世界的な金融市場の緊張の高まりを受けて、2023年6月に開始した外貨準備の補充プログラムを一時停止すると発表している。次回の金融政策決定会合は12月19日に開催される予定。

(岡戸美澪)

(チリ)

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