中国、石油精製業の脱炭素促進に向け指導意見を公表

(中国)

大連発

2023年11月02日

中国の国家発展改革委員会、国家能源局、工業情報化部と生態環境部の計4部門は10月25日、「石油精製業のグリーンで質の高い発展を促進する指導意見」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(以下、「指導意見」)を発表した。本指導意見は、石油精製業の生産能力の構造的な最適化、グリーン化、イノベーション創出を促進するものだ。

具体的には、次の4つの分野に分け、計17項目の措置が取り決められている。概要は次のとおり。

1. 石油精製業の最適化、高度化の促進。生産能力の構造的な改善、新しく建てられる製油所の監督強化、精製プロセスの高度化、エネルギー消費の多い設備の淘汰の促進、石油精製業界全体における管理の改善。

2. エネルギー・資源使用の効率的な利用促進。エネルギー効率と水資源利用の効率化、コジェネレーション(注)を通じたエネルギーの効率的な使用、現有設備の熱効率の診断と最新設備への置き換えの促進、資源のリサイクルとバイオ燃料の発展奨励。

3. グリーン・低炭素化の加速。石油精製工程における脱炭素の推進、CCUS(二酸化炭素回収・有効利用・貯留)技術の利活用、水素精製などを通じた石油精製業と再生可能エネルギーの融合的な発展の促進、炭素排出に対する管理の強化。

4. 科学技術イノベーション創出の強化。分野横断的なコンソーシアム設立などのイノベーション創出のための仕組みの構築、ソフトウエアの研究・開発・活用の強化、原油分離などの新しい石油精製技術の開発、低炭素技術の研究開発加速。

指導意見は、2025年までに、生産能力の最適化、技術と設備の高度化、エネルギーと資源の利用効率化の向上、汚染物質排出量・炭素排出量の削減を実現することを目標として掲げている。また、2030年までに、グリーン水素の精製技術やCCUS技術を完成させ、大規模な実証実験を完了し、カーボンピークアウトの実現に貢献することを目標としている。

(注)コジェネレーションとは、2つのエネルギーを同時に生産し、供給することを指し、指導意見では熱と電気の併給が提唱されている。

(李莉)

(中国)

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