財やサービス輸出に適用する為替レート優遇措置を強化

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2023年11月24日

アルゼンチン政府は11月21日、必要緊急大統領令(DNU)597/2023号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公布し、財、サービスの輸出代金を現地通貨ペソに交換する際に用いる為替レートについて、10月23日にDNU549/2023号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにより導入された優遇措置を12月10日まで延長するとともに、その内容を強化した。

アルゼンチンでは現在、財、サービスの輸出代金を原則としてペソに交換することが義務付けられており、輸出代金を外貨のまま手元に置くことはできない。アルゼンチンには、1ドル=約360ペソの公式為替レートと、1ドル=約1,000ペソの並行為替レート(通称ブルーレート)の大きく2つの為替レートが存在するが、後者がいわゆる実勢レートであり、前者は輸入物価の上昇を抑えるために非常に割高に設定された貿易代金専用為替レートというのが実態だ。割高に設定された公式為替レートで輸出代金をペソに交換しなければならない状況は、輸出者の輸出意欲をそいでいたことから、政府は2022年9月以降、期間と対象を限定して輸出代金のペソへの交換レートを優遇する措置を何度も導入してきた(添付資料表参照)。

今回の措置は、11月21日から12月10日までの期間、財、サービスの輸出代金の50%を公式為替レートで、残りの50%を優良スワップ取引(CCL)や電子決済手段(MEP)と呼ばれる債券取引を通じてペソに交換することを認めた。DNU549/2023号ではその割合が7対3だった。

CCLやMEPといった外貨建て債券とペソ建て債券の売買取引に介在する為替レートをCCLレート、MEPレートと呼ぶが、CCLレート、MEPレートのいずれもがブルーレートに近い交換比率となっている。11月22日の公式為替レートとCCLレート、MEPレートから計算すると、本措置により適用される為替レートは、公式為替レートの1ドル=約360ペソに対して1ドル=約650ペソとなっており、実質的な切り下げを意味し、輸出代金を現地通貨ペソに交換する際は、以前より多額のペソを得ることができる。

10月下旬、11月上旬に支払期日が到来した対IMF債務の一部を人民元で返済したと報じられており、政府は、輸出に対する規制的な措置を緩和し、外貨準備のさらなる積み増しを目指す。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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