ミレイ次期政権は自由な貿易とFTA推進を志向、外相候補との意見交換での発言

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2023年11月27日

アルゼンチン大統領選挙で勝利したハビエル・ミレイ氏率いる「自由前進」(LLA)は、有権者に向けた政策提案「国家計画」の中で通商政策に触れた。また次期政権では、LLAから下院議員候補として立候補したディアナ・モンディーノ氏が外相に就任すると目されている。

そこで、ジェトロ・ブエノスアイレス事務所が2023年9月14日に実施したディアナ・モンディーノ氏との意見交換会での同氏の発言も交えて、LLAが提案する通商政策について紹介する。

LLAはその政策提案において、輸入制限は少数の保護された生産者に利するだけで、消費者だけでなく競争力のある産業に損害を与えているため、輸出主導の成長を実現するためにも貿易の自由化を進める必要があると主張している。そのための具体的な方法として、輸入税の引き下げ、財政再建と輸出競争力のある為替レートの実現、世界主要国・地域との自由貿易協定の締結、メルコスール再交渉、貿易障壁の撤廃を挙げた。

モンディーノ氏は外交、通商政策について、マウリシオ・マクリ大統領(2015年12月~2020年12月)がG20のホストを務めたような、進歩的な外交政策が失われており、新政権は、日本を含む西側諸国と労働、民主主義、貿易の自由、技術革新などの価値観を明確に一致させなければならないと述べた。

また、メルコスールは不可欠な存在だが、今日のメルコスールは創設時と異なり、加盟国間の補完的な関係が失われ、農業では競合相手にもなるため、メルコスールの規定を見直す必要があるとした。メルコスール加盟国以外の世界の主要国・地域との通商関係については、自由貿易協定(FTA)を推進する必要があるとしている。加盟国以外との通商交渉は、加盟国が一体となって行う「メルコスールの原則」の問題があるため、すべての加盟国の経済と貿易に利益をもたらすためにも、メルコスールの規定を変更しなければならないと述べている。

アルゼンチンの批准待ちとなっている、日本との投資条約については、投資家の保護は日本に対してだけでなく、すべての国の投資家に対してアルゼンチンが一方的に行うべきことで、そのための法案を準備していると述べた。同様に、アルゼンチンの批准待ちとなっている租税条約については、各国の認識が異なるため一方的なものにはできないかもしれないが、相互主義を求めることなく、すべての国のためにもっと一般的な規則を作るべきだと考えており、相手側に同じことを求めないのは難しいことかもしれないが、私はそうしたいと考えていると述べた。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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