政府が2024年度予算案を発表

(スリランカ)

コロンボ発

2023年11月28日

スリランカのラニル・ウィクラマシンハ大統領は11月13日、国会で2024年度(暦年と同じ)予算案を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同予算案では付加価値税率の15%から18%への引き上げや、公務員の生活手当の月額7,800スリランカ・ルピー(約3,588円、1スリランカ・ルピー=約0.46円)から1万7,800スリランカ・ルピーへの引き上げなどを明らかにした。歳出額は前年度予算比32.8%増の6兆9,780億スリランカ・ルピー、歳入額は前年度比44.8%増の4兆1,270億スリランカ・ルピーを見込み、歳入額が大幅に増加した(添付資料表参照)。

大統領は急激な物価上昇の鈍化や外貨準備高の増加などを理由に、「私たちの国の状況は1年前よりも良くなっている」と経済回復を強調した上で、「困難な時代が終わったわけではない。国全体がさまざまな局面で苦難と闘い続けている」と述べ、国民に増税への理解を求めた。

同予算案の基本方針は11月21日の第2読会で可決され、翌22日に始まった委員会で条文ごとの審議を経て、12月13日に国会で表決される予定だ。

主な予算案の内容は次のとおり。

  • 薬事調達ガイドラインの導入、観光客向け伝統医療(アーユルベーダ)施設の設置
  • 科学技術分野の4大学の新設、4高等教育機関の大学への改編、国立大学の実験施設の導入、IT分野の職業訓練事業の導入、英語能力強化など教育の改善
  • 中央高速道路やコロンボ・ポートシティーへの幹線道路などの建設、電動バスの導入などによる交通や道路、港湾の整備
  • 地域主導の都市開発や約5万の低所得世帯向け住宅の提供、土地の無償提供による建設業の支援
  • 農林水産業の付加価値・生産性向上支援、農民による土地・農地所有の明確化
  • コロンボ港・トリンコマリー港開発などを通じたインドとの連結性強化、観光客や対内直接投資誘致を目指すスリランカのブランディング、貿易投資の促進に向けた投資委員会と輸出促進局、産業発展局、企業開発庁の機能を統合する制度的枠組みを監督する会社を設立する新たな投資法の起草、投資家向けサービスを提供する政府機関の機能の自動化強化、手続きの簡素化や相互運用による承認や許認可関連機関の連携促進、ハンバントタ・ジャフナ・トリンコマリー・ビンギリヤ・キャンディでの新たな投資区域の設立、通関法の改正、アジア開発銀行(ADB)の支援による生産性向上を目指す中小企業への信用供与や女性のエンパワーメントの促進
  • 200万人の低所得世帯を対象とする給付金の配賦、月額3,525スリランカ・ルピーから6,025スリランカ・ルピーへの年金の引き上げ

(大井裕貴)

(スリランカ)

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