米フィラデルフィアの大学に設置の和牛コースが終了、学生や地元シェフらが受講

(米国、日本)

ニューヨーク発

2023年11月08日

米国ペンシルベニア州フィラデルフィアのドレクセル大学の調理学専攻課程に設置された和牛コースの全課程が11月6日に終了した。このコースは、在ニューヨーク日本総領事館とジェトロを事務局とする農産品輸出支援プラットフォーム(2022年4月28日記事参照)が設置した。シェフや飲食関係業界に就職する学生にとって、和牛をなじみのある食材にするほか、これまで他の大都市と比べて必ずしも和牛などの普及が進んでいなかったフィラデルフィアの事業者に対して、和牛の知識と技術を教育、普及させ、新たな需要を創出することや、大学と連携して和牛に関する教育環境を整備することなどを目的としていた。

和牛コースでは調理学専攻課程の学生のほか、地元のシェフや小売店関係者などの事業者を対象として、10月2日から11月6日まで計6回の講義・実習を行った。1回目と2回目は、地元の事業者やシェフを講師として、和牛に関する基礎知識、他国産Wagyuとの違い、和牛の栄養成分や調理技術について講義を行った。3回目と4回目では、日本の産地の1つのいわて農林水産物国際流通促進協議会と連携して、日本の全国食肉学校から専門講師を招き、いわて牛を用いた産地の紹介やカッティング技術の実習など、和牛の応用知識に関する講義・実習を行った。5回目では、実際に和牛を用いた調理実習を行うとともに、受講者がチームに分かれてレシピの開発に取り組み、最終回の6回目では開発したレシピで和牛を調理し、試食会を行った。

全体を通じて、学生と事業者を合わせて計32人が受講し、和牛コースの修了証が授与された。受講者から各講義で多くの質問が飛び交い、活発な講義となった。和牛のロイン系(注)以外の部位にも見られるきめ細やかで美しいサシ(脂肪交雑)と調理への活用範囲の広さに驚きの声も上がった。

ドレクセル大学の担当教員からは、和牛に特化したコースを設置する初めての試みにもかかわらず、地元のシェフや日本からの専門講師による講義が実現し、学生、地元の事業者、大学にとっても有意義なコースだったと評価の声が聞かれた。

写真 全国食肉学校の講師によるカッティング実習(ジェトロ撮影)

全国食肉学校の講師によるカッティング実習(ジェトロ撮影)

写真 (左)地元シェフによるレシピアイデアの紹介、(右)試食用メニューを調理中の学生(ともにジェトロ撮影)

(左)地元シェフによるレシピアイデアの紹介、(右)試食用メニューを調理中の学生(ともにジェトロ撮影)

写真 (左)試食用メニューを調理中の事業者、(右)修了証授与式(ともにジェトロ撮影)

(左)試食用メニューを調理中の事業者、(右)修了証授与式(ともにジェトロ撮影)

(注)サーロイン、テンダーロイン(ヒレ)、リブロースなど牛の腰部に当たる部位で、ステーキなどに用いられることが多い高級部位。

(岡田卓也)

(米国、日本)

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