アフリカは「一帯一路」を好意的に評価

(アフリカ、ケニア、エジプト、エチオピア、ナイジェリア、モザンビーク、中国)

ナイロビ発

2023年11月08日

中国・北京市で10月17~18日に開催された第3回「一帯一路」国際協力ハイレベルフォーラム(2023年10月24日記事参照)には、アフリカからも多くの政府高官が参加した。首脳級では、ケニアのウィリアム・ルト大統領やエチオピアのアビィ・アフメド首相、コンゴ共和国のドニ・サス・ンゲソ大統領のほか、エジプトのムスタファ・マドブーリー首相、ナイジェリアのカシム・シェッティマ副大統領、モザンビークのアドリアーノ・アフォンソ・マレイアーネ首相らが参加した。

中国政府が発表したマルチ協力成果文書リスト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(添付資料表1参照)では、「デジタル経済協力にかかる北京イニシアチブ」について、自発的かつ縛りのないものとしつつも、コモロ、エチオピア、ガンビア、ケニア、サントメ・プリンシペがデジタル分野での協力パートナー国として名を連ねた。なお、内容は具体的な各地でのプロジェクトではなく、包括的なデジタル分野での協力に関するものにとどまっている。また、中国科学院やケニア国家イノベーション庁などが共同で、アフリカの持続的開発のための技術イノベーション協力のイニシアチブ強化を発表した。

このほか、実務協力プロジェクトリスト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(添付資料表2、表3参照)にも、アフリカ各国との協力事業が数多く掲載された。エチオピアやナイジェリアなどとの鉄道などのインフラ建設協力は依然として継続されている一方、鉱山投資や農業投資、農業技術協力、教育・医療支援など、幅広い分野での協力プロジェクトが列挙された。また、昨今のアフリカ諸国の厳しい財政状況を反映し、アフリカ初となるエジプトとのパンダ債の起債や、中国開発銀行によるエジプト中央銀行などへの人民元融資なども含まれた。今回のフォーラムの全体的な方向性を踏まえると、今後はデジタル分野やグリーン分野にかかる協力プロジェクトが数を増やしていくとみられる。

今回のフォーラムについては、アフリカでも多くの報道があった。おおむね中国による10年間の取り組みを評価するもので、アフリカの経済発展に貢献したとし、デジタル分野など新たな協力分野についても好意的に評価している。一方、ケニアでは、中国がケニアで建設したモンバサ・ナイロビ標準軌鉄道(SGR)の、ウガンダの首都カンパラまでの延伸にかかる融資にかかる報道が大半を占めた。ルト大統領は今回の訪中で中国の協力を取り付けに行った、と現地紙は報道しているが、両政府の発表には成果として言及がなく、合意には至らなかったもようだ。

(佐藤丈治)

(アフリカ、ケニア、エジプト、エチオピア、ナイジェリア、モザンビーク、中国)

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