政府、SRIファンドの投資対象から化石燃料の除外決定

(フランス)

パリ発

2023年11月15日

フランスのブリュノ・ル・メール経済・財務・産業およびデジタル主権相は11月6日、社会的責任投資(SRI)ラベルの認定制度の改正について、気候変動問題への対応を重視する新たな枠組みを発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。この中で、SRIファンドの投資対象から新規の化石燃料プロジェクトを有する企業を除外する方針を決めた。

SRIラベル認定制度は2016年に、個人や投資家のESG〔環境・社会・ガバナンス(企業統治)〕に配慮した投資判断を支援するため、経済・財務省(当時)が導入した制度。その後、2019年の「企業の成長・変革に関する法」(通称PACTE法)により、2020年1月から税制優遇資産形成口座(assurance-vie)と年金貯蓄プラン(plans d’épargne retraite)の対象商品に、SRIラベル認定を受けた投資ファンドの組み入れを義務付けた。現在、1,174件のファンドがSRIラベルの認定を受けており、運用資産総額は7,730億ユーロに達している。

SRIラベルの認定基準は2016年以降、大きく改定されていなかったが、気候変動問題への対応強化を求める動きを受け2021年10月、基準改正に係わる諮問委員会が設置され、2度のパブリックコンサルテーションを経て、2023年夏に同委員会が新基準書案を提出していた。

同案を基に政府は今回、SRIファンドの投資対象から石炭や非在来型の炭化水素(石油やガス)を開発する企業、非在来型炭化水素の開発または精製に係わる新規プロジェクトを有する企業を除外することを決めた。

気候変動問題への対応を重視しつつ、これまでのESGに係わる基準はファンド運用会社に対して投資による負の影響を抑える保証を義務付けるなど、適用を厳しくするかたちで継続する。新たな基準書は11月中に公表され、2024年3月1日に施行される予定だ。

環境団体などは今回の決定を歓迎している。サステナブルファイナンス(SF)を推進するNGOのリクレイムファイナンス(Reclaim Finance)は11月9日のプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで「新基準書で基準の詳細が決まれば、フランスのトタルエナジーズ、英国BP、イタリアのENIはSRIファンドの投資対象から除外される。信頼性を追求するSRIラベルにとって大きな前進だ」と評価した。

(山崎あき)

(フランス)

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