第3四半期の実質GDP成長率、前年同期比3.3%、事前予想を上回る

(マレーシア)

クアラルンプール発

2023年11月28日

マレーシア中央銀行と統計局は11月17日、2023年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率が事前の市場予測の前年同期比3.0%を上回る3.3%増だったと発表した(添付資料表1参照)。底堅い内需により、3期連続の減速から脱却し、回復の兆しが見えてきた。

需要項目別にみると、GDPの6割強を占める個人消費が4.6%増と、前期の4.3%増から伸びがやや拡大し、引き続き経済成長を牽引した。家計支出が雇用と賃金の継続的な伸びに支えられたことがその背景にある。政府消費が5.8%増(前期3.8%増)と加速した一方、民間投資が4.5%増(前期5.1%増)、公共投資が7.5%増(前期7.9%増)といずれも減速した。純輸出は、外需の低迷が長引く中、前期の3.7%減から22.7%減に大幅に落ち込んだが、観光活動の回復により、ある程度は相殺されたと中銀は指摘した(添付資料表1、図参照)。

産業別では、主にサービス業と建設業が経済成長に寄与した(添付資料表2参照)。GDPの6割弱を占めるサービス業が前年同期比5.0%増と、前期の4.7%増から加速した。中銀によると、消費者およびビジネス関連サービスの改善が成長を後押しした。建設業は7.2%増(前期6.2%増)と加速した。進行中の大・小型インフラ整備案件が下支えとなった。農業は、労働力不足の解消と、気候の好転によってパーム油の生産量が増加し、前期の1.0%減から0.8%増とプラスに転じた。一方、製造業が0.1%減と前期0.1%増からマイナス成長に転じた。電子部品や精製石油製品のさらなる生産低迷が影響したとみられる。鉱業・採石は、天然ガスの生産量減少が続き、0.1%減(前期2.3%減)と前期から減少率は縮小したものの、引き続きマイナス成長だった。

2023年通年の経済成長率は4%程度と予測

2023年1~9月の実質GDP成長率は3.9%だった。通年の経済見通しについて、中銀のアブドゥル・ラシード・ガフォール総裁は「厳しい国際経済環境の中にあって、マレーシア経済は2023年に4.0%、2024年には4.0~5.0%拡大すると予測している。経済成長は引き続き内需の拡大に牽引される」と指摘した。同様に、地元紙がエコノミスト7人に2023年通年の経済見通しを聞いたところ、5人が4.0~5.0%の範囲内での成長を達成することが可能と回答したものの、この範囲の下限寄りの成長率にとどまるとの見方が多かった(11月18日付「ニュー・ストレーツ・タイムズ」)。

(エスター頼敏寧)

(マレーシア)

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