2023年1~9月のASEAN6カ国のフィンテック資金調達が7割減、環境分野は増加

(シンガポール、ASEAN)

シンガポール発

2023年11月27日

シンガポールのユナイテッド・オーバーシーズ銀行(UOB)と、会計事務所プライスウォーターハウスクーパース(PwC)、シンガポール・フィンテック協会(SFA)が11月16日に発表したレポート「2023年のASEANのフィンテック」によると、ASEAN6カ国(注)のフィンテック分野のスタートアップの資金調達額は、資金調達の世界的な低迷を受けて、2023年1~9月に13億ドルと前年同期に比べて約70%減少した(UOBニュースリリースPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))。他方、フィンテック分野の中でも、環境分野の資金調達は依然として堅調だった。

同レポートによると、フィンテック分野において、ASEAN6カ国のスタートアップの資金調達は2022年第3四半期以降、減少が続いている。マクロ経済情勢が厳しくなる中、投資家は投資候補企業のファンダメンタルズを精査するようになっている。2023年1~9月の資金調達額の国別の内訳をみると、59%をシンガポールが占め、域内で最大の調達国としての地位を維持した。インドネシア(27%)が2番目に多く、タイ(6%)、マレーシア(4%)、ベトナム(3%)、フィリピン(2%)の順となった(添付資料図参照)。

一方、フィンテック分野でも、環境関連のスタートアップの資金調達額は2022年に過去最高の3億ドルだった。2023年1~9月の資金調達額は1億6,900万ドルと、2021年通年の調達額1億2,900万ドルを上回っている。こうした環境テックの例としては、炭素排出量の管理や情報開示、グリーンファイナンス、カーボンクレジット関連サービスなどがある。同レポートは、「規制当局が環境情報の開示義務の対象企業を拡大していることから、革新的かつ持続可能なソリューションを提供する環境分野のスタートアップに成長余地がある」と指摘した。

(注)レポートはシンガポール、マレーシア、タイ、ベトナム、インドネシア、フィリピンの6カ国を対象としている。UOBのウェブページPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)からダウンロード可能。

(本田智津絵)

(シンガポール、ASEAN)

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