9月の輸出入、前年同月比で引き続き減少

(香港)

香港発

2023年11月06日

香港特別行政区(以下、香港)政府統計処が10月26日に発表した貿易統計によると、2023年第3四半期(7~9月)の貿易額は、輸出が前年同期比6.0%減の1兆801億9,600万香港ドル(約20兆5,237億円、1香港ドル=約19円)、輸入が2.8%減の1兆2,028億5,000万香港ドルで、輸出、輸入とも2桁減が続いていた前四半期からは減少幅が縮小した(添付資料表参照)。9月単月では、輸出が前年同月比5.3%減の3,803億3,740万香港ドル、輸入が0.4%減の4,449億1,740万香港ドルだった(添付資料表、図参照)。これで輸出は17カ月、輸入は15カ月連続のマイナスとなった。9月の貿易収支は645億8,000万香港ドルの赤字で、20カ月連続の赤字となった。

主要国・地域別にみると、9月単月では、最大の輸出先の中国本土が前年同月比9.7%減、日本が14.5%減、ASEAN10カ国も9.2%減とマイナスだった。ASEAN10カ国では、シンガポール(44.8%減)、インドネシア(30.2%減)、フィリピン(18.6%減)の寄与が大きかった。一方、ASEANの中でも最大の輸出先であるベトナム(8.3%増)、タイ(22.8%増)、マレーシア(32.6%増)は増加した。輸入は9月単月で、中国本土(0.9%増)と米国(8.8%増)が前月に引き続き増加したほか、台湾(5.1%増)も前月のマイナスからプラスに転じた。他方、ASEAN10カ国(9.1%減)、韓国(28.6%減)などがマイナスに寄与した。

香港政府報道官は輸出の状況について、「9月は依然として低迷している。中国本土とEUは前年同月比で減少した一方で、米国は若干増加した。他の主要なアジア地域も状況はまちまちだった」と指摘した。今後の見通しについては「厳しい世界経済環境と地政学的状況が、短期的には香港の輸出に引き続き重しとなるだろう」との見方を示した。

(山口雅史)

(香港)

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