ブルガリア統一地方選挙、首都ソフィアでは起業家が与党候補者破り当選

(ブルガリア)

ブカレスト発

2023年11月16日

ブルガリアで10月29日に行われた統一地方選挙は、多くの都市で接戦となったため11月5日に決選投票が実施された。中央選挙管理委員会によれば、1回目の選挙では投票率は全国で44.9%(前回2019年は49.8%)、決選投票では36.9%(同42.1%)といずれも前回を下回った。市長選挙においては、与党「ブルガリアの欧州における発展のための市民(GERB)」が全国的に支持を得たものの、首都ソフィアを含む主要都市で支持を失い、2019年の統一地方選挙では19の地方都市で市長を選出したが、今回は13都市にとどまった〔「ソフィア・グローブ」11月6日、「ジャーマン・マーシャル財団(GMF)」11月8日〕。

ソフィアでは過去18年にわたりGERBが市長の座を占めてきたが、今回は「変化を継続する(変革党、PP)」と民主主義的ブルガリア(DB)の連合などが支持するバシル・テルジエフ氏が、与党支持候補を僅差で破った。同氏は、テック系起業家として活躍したのちIT人材育成アカデミーを開校するなど、ブルガリアにおけるスタートアップ支援で高く評価されてきた。

ブルガリアでは過去2年半で5回の国民議会選挙が行われるなど、政治的混乱が続いている。2023年4月の選挙では、それまでの与党GERB・民主勢力同盟(UDF)連合が引き続き与党となったが(2023年4月11日記事参照)、組閣のための条件である全議席の過半数を占めておらず、第2党であるPP・DB連合と首相を9カ月ごとに交代することを条件とした連立内閣となっている(2023年6月20日記事参照)。今回の選挙の結果を受け、GERBはPP・DB連合との連立協定の継続の在り方について思案しており、今回ソフィア市長選でPP・DB連合が支持を得たことで、連立政権の安定性に疑問が生じているとの見方が広がっている(「GMF」11月8日)。

(ブラティミール・カネフ)

(ブルガリア)

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