東部経済回廊(EEC)、99日以内に達成または開始すべき事項に関する計画を承認

(タイ)

バンコク発

2023年11月02日

タイで10月17日、セター政権発足後初の東部経済回廊(EEC)政策委員会が開催され、99日以内に達成すべき、もしくは開始すべき事項に関する計画を承認した。計画は次の8つの分野にわかれている。

1.政策

12月に「EEC開発計画(2023-2027)」を策定する。当該計画は、5つの開発ガイドライン[(1)将来の産業・サービスへの投資促進、(2)インフラ・公共事業の効率性向上、(3)テクノロジーとイノベーションに備えた労働技能の向上、(4)現代的で住みやすい都市の開発、(5)事業の成長と地域の持続可能性のバランスをとる]から構成される。

2.投資奨励策

12月にEEC経済特区内の事業者に対する税制優遇措置や、土地、コンドミニアムの所有権、EEC長期滞在ビザなどの非税制優遇措置を発表する。

3.投資エコシステムの構築

2024年1月までにEECに投資する事業者向けの資金調達ファシリティ(EEC Fundraising Venue)を開発し、外貨を中心とした資金調達を支援する(まずはドルから開始)。

4.インフラ整備

開発に向けて進行中の3空港(ドンムアン空港、スワンナプーム空港、ウタパオ空港)を結ぶ高速鉄道プロジェクトの交渉をまとめる。また、ウタパオ空港の拡張と東部航空都市開発プロジェクトについては、2024年1月までに民間請負業者の着工準備を整える(注)。

5.包括的な行政サービスの提供

12月から、EEC法に基づく8つの法律(土地の掘削と埋め立て、建築管理、機械登録、公衆衛生、出入国管理、商業登録、工場、土地割り当て)に規定される許認可手続きのサービスを改善していく。

6.経済特区の開発

新たにEECビジネスセンター・アンド・リバブル・スマートシティが経済特区として設置される。また開発中のエイペックス・グリーン工業団地に経済特区を設置する。さらに2024年1月には、プルアクデーン工業地域をEEC先端医療特区(EEC Advanced Healthcare:EEChc)に指定し、「プルアクデーン2病院」を設置することで公衆衛生サービスを向上させる。

7.特別対象産業への投資開始

12月に、インドの「CtrlSデータセンター」はEECd(デジタルパーク・タイランド)域内でデータセンター設立に向け、域内の25ライ(約4万平方メートル)の土地の50年長期借地契約の締結を完了させる予定。また、タイ発電公社(EGAT)も域内の5ライの土地を20年契約で借り受けてEV充電ステーションを開発する。

8.地域とコミュニティの強化

12月からEECセレクトプロジェクトを開始し、地域コミュニティによる製品づくりを支援。2024年1月にはEECウーマンパワーセンター設立し、EECと地域社会をつなぎ、地域の女性がEECについての認識と理解を深めることができるようにする。また、青少年が地域社会の生活の質を向上するイノベーションや技術を開発する機会をつくるため、EECスクエアユースプロジェクトを推進する。

(注)ウタパオ空港開発計画は、2020年6月にウタパオ・インターナショナル・アビエーション(UTA)が官民連携事業契約を締結した。航空都市開発もUTAと協力して開発を引き続き進める予定。

(ピンラウィー・シリサップ、藤田豊)

(タイ)

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