2023年補正財政法を発表、外国グループ企業の脱税予防策など導入

(アルジェリア)

パリ発

2023年11月14日

アルジェリア政府は11月5日付70号官報PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で、2023年補正財政法を公表した。2023年のアルジェリア財政の見通しについて、歳入は当初予定額の7兆9,019億アルジェリア・ディナール(約8兆6,921億円、1アルジェリア・ディナール=約1.1円)から12.9%増の8兆9,259億アルジェリア・ディナールとする。歳出は当初予定額の13兆7,868億アルジェリア・ディナールから6.6%増の14兆7,068億アルジェリア・ディナール。

また、政府は原油価格設定を1バレル60ドル、市場価格見込みを1バレル70ドルに維持したが、経済成長率予測を4.1%から5.3%に上方修正した。部門別では、原油価格の回復に後押しされ、炭化水素部門は6.1%、製造業など非炭化水素部門は4.9%の成長を予測している。輸入は369億ドルから415億ドル、輸出は463億ドルから528億ドル(いずれも見込み額)に上方修正した。外貨準備高は2021年からの増加傾向を維持し、597億ドルに達する。

同法では、移転価格税制に関する脱税予防策や、家計の購買力向上、食料品の安定供給を目的とする税制面の各種措置を導入した。主な措置は次のとおり。

  1. 外国企業のアルジェリア法人(外国企業が資本金の50%以上、もしくは議決権の40%以上を保有する場合)による移転価格に関する申告の義務付けを導入(第6条、第13条など)。
  2. アルジェリア法人の法人税の課税基準について、外国企業のアルジェリア法人〔定義は(1)と同じ〕がグループ内外国法人に利益を間接的に送金した場合、当該利益送金額をアルジェリア法人の売上高に含める(第7条、注)。
  3. 移転価格に関する申告に不足や不正がある場合、もしくは期限内に申告書を提出しない場合は、200万アルジェリア・ディナールの罰金に処す(第8条)。

また、同法には、食肉市場価格の安定を目的として、牛、冷凍牛肉、冷凍羊肉を対象とした関税率を30%から5%に引き下げ(第17、18条)とする措置も含まれている。

(注)間接的に送金された利益とは、支配関係が仮になければ、アルジェリア法人に計上された利益

(ピエリック・グルニエ)

(アルジェリア)

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