アフリカで2050年までに天然ガス生産は37%増、再エネ発電は7倍に

(アフリカ、南アフリカ共和国)

調査部中東アフリカ課

2023年11月10日

国際エネルギー機関(IEA)は10月24日、2023年版の「世界エネルギー見通し」を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同報告書では、世界全体で石炭、石油、天然ガスの需要が2030年までにピークを迎えるとの分析を示した(2023年10月26日記事参照)。アフリカでは、既に公表や実施されている政策に限定して推計したSTEPSシナリオ(Stated Policies Scenario)で、石油需要は2022年時点で日量400万バレルだったが、2050年には93%増の日量770万バレルに増加する見込みだ。

また、アフリカの天然ガスの年間生産が2050年には、2022年と比べて37%増の3,600億立方メートルになると予測している。一方で、石油生産は2022年時点で日量710万バレルだが、2050年には20%減の日量570万バレルまで落ち込むとの予測だ。石炭生産も同期期間で23%減となるという。

エネルギー供給増加に伴い再エネ発電も増加

同報告書によると、2050年の世界での年間エネルギー供給量は2022年と比べて15%減少するが、アフリカでは58%増加するという。アフリカの人口も現在の約14億人から2050年には約25億人に増加する。また、現在はアフリカでは約6億人が電力へアクセスできないが、電気の普及にも伴い、エネルギー需要と二酸化炭素(CO2)排出は増加する見込みだ。年間のCO2排出量は、世界では2050年に2022年比で20%減少するが、アフリカでは44%増加するとの予測になっている。2022年時点ではアフリカのCO2排出量は世界シェア3.8%のところ、2050年には同6.7%まで上昇する。

2023年時点では、アフリカ54カ国のうち15カ国でネットゼロ目標を策定しており、再生可能エネルギー発電など脱炭素の取り組みも進めている。世界の年間の再エネ発電は、2050年には2022年と比べ4.4倍の3万7,973テラワットアワー(TWh)、このうちアフリカでは2050年に2022年比で7.2倍の1,505TWhに増加する。また、アフリカでの風力発電は2022年の25TWhから2050年には約12倍の302TWh、太陽光発電も2022年の16TWhから2050年には約33倍の526TWhまで増加すると予測している。

石炭産出国で、現在アフリカの電力需要の27%を占める南アフリカ共和国でも、石炭発電所による電力不足が深刻化しており、再エネに関する投資が増えているという。同報告書は、アフリカ全体で増加するエネルギー需要を賄いつつ、気候変動目標を達成するには、アフリカへの投資が毎年2,000億ドル必要としている。

(井澤壌士)

(アフリカ、南アフリカ共和国)

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