上海市、シルクロード電子商取引先行区の建設案発表
(中国)
上海発
2023年11月24日
中国の上海市政府は11月14日、中国と諸外国が電子商取引(EC)分野で協力を深めるプラットフォーム「シルクロード電子商取引協力先行区」建設計画案を発表した。10月23日に中国国務院(内閣)が「シルクロード電子商取引協力先行区」を上海市に設置する案を承認したことを受けて発表した(2023年10月31日記事参照)。
計画案では、2025年までに国際的に競争力のあるEC経営主体を上海に集積させ、EC取引と国際協力を活性化させることを目標として掲げた。具体的な内容として「電子商取引分野の対外開放の拡大」「先行的な環境整備」「国際・地域間の協力推進」の3分野で計19項目の措置を実施するとした。
「電子商取引分野の対外開放の拡大」については、国際データサービスの拡充や、高水準の貿易円滑化措置の実施、電子インボイスの運用、デジタル身分証明の運用の模索、越境ECを通じた輸入の拡大、越境EC輸出のイノベーション発展、人民元建て決済の推進の7項目を掲げた。
「先行的な環境整備」については、中国(上海)自由貿易試験区と臨港新エリアの税関特別監督区の連携の強化、虹橋国際中央商務区にパートナー国の貿易投資促進機関の集積、越境ECのグローバル物流センター設立、越境EC企業の育成・拡大、EC取引関連のインフラ整備、EC分野の国際人材の誘致などを挙げた(注1)。
「国際的・地域的な協力の推進」では、シンクタンクの交流を通じた越境ECのルール作成や知的財産保護の研究、デジタル技術の応用促進(注2)、研修交流の促進を掲げた。また、浦東新区と虹橋国際中央商務区に商品、観光・文化展示などの機能を一体化させた国家館を設立することや、長江デルタ地域の越境EC協会が協力して業界交流プラットフォームの構築、「シルクロード電子商取引」国際サービスプラットフォームの構築(注3)などを挙げた。
(注1)EC分野の国際人材誘致の一環として、優秀な外国人材に対し、工作許可や居留許可の申請利便化などの優遇措置を適用するとした。また、関連企業の外国人高級管理職に対して、優先的に中国での永住申請を推薦することなどを盛り込んだ。
(注2)応用するデジタル技術として、クラウドコンピューティング、ブロックチェーン(分散型台帳)、ビッグデータ、IoT(モノのインターネット)、デジタルツイン(物理的なモノと空間をデジタル上に再現し、シミュレーションや管理などを行う技術)といった技術を挙げた。
(注3)「シルクロード電子商取引国際サービスプラットフォーム」では、越境金融サービス、仲裁、知的財産の保護、金融コンサルティング、保険、越境物流などのサービスを企業に提供するとした。
(尹世花)
(中国)
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