中銀、政策金利を5会合ぶりに引き上げ4.35%に
(オーストラリア)
シドニー発
2023年11月22日
オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)は11月7日、政策金利を0.25ポイント引き上げ、4.35%とすると発表した。RBAは、2022年5月以降、合計13回の利上げを実施し、2023年6月からは4回連続で政策金利を4.1%に据え置いていた。今回の再利上げによって、金利は過去1年半で4ポイント上昇したことになる。
RBAのミシェル・ブロック総裁は追加利上げの背景について、「オーストラリアのインフレはピークを過ぎたものの、数カ月前に予想していた水準より高い。直近では、財価格のインフレ率は緩やかになったが、多くのサービス価格は顕著な上昇が続いている。インフレ率を目標圏内(2~3%)に確実に戻すために、追加利上げを判断した」と説明した。RBAは今後のインフレ率について、2024年末に3.5%、2025年末までに2~3%になると予想している。
また、RBAは国内経済について、2023年前半は予想よりも堅調な成長を遂げたと分析。労働市場は以前に比べると緩和したものの、引き続き逼迫していると指摘した。住宅価格は全国的に上昇が続いているとした。
公共放送ABC(11月7日付電子版)は「金融市場関係者やエコノミストは、今後の利上げについて、来年2月までは政策金利の引き上げが続くとみており、5割の確率で来年半ばまで4.35%からさらに上昇するとみている」と報じた。
サービス分野のインフレ高水準が続く
オーストラリア統計局(ABS)は、2023年第3四半期(7~9月)の消費者物価指数(CPI)が、前期比で1.2%上昇したと発表した。前年同期比では5.4%上昇した。特に、自動車燃料(前期比7.2%)、家賃(同2.2%)、新築住宅価格(同1.3%)、電気料金(同4.2%)で伸びが大きく、CPIを押し上げる要因となった。
一方、サービス分野のインフレは高止まりしており、前年同期比でみると、保険サービス(14.7%)、獣医サービス(7.5%)、家賃(7.6%)、外食サービス(6.1%)、美容院サービス(6.7%)、歯科サービス(4.9%)などで高い水準が続いている。特に家賃の上昇は2009年以来14年ぶりの高い水準となった。
(青島春枝)
(オーストラリア)
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