タイ中銀の9月経済金融報告、好調な観光業や個人消費により引き続き回復

(タイ)

バンコク発

2023年11月08日

タイ中央銀行(BOT)は20231031日、9月の月例経済金融報告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。9月のタイ経済は観光客数、財輸出の増加を背景に引き続き回復を維持した。他方、民間支出は消費、投資ともに前月比でやや縮小した。

工業生産指数は、前年同月比で6.1%減となったが、前月比(注)では0.3%増加し、ほぼ横ばいだった。砂糖の価格上昇/生産の増加に伴って、食料・飲料の生産が前月比1.6%増と伸張した。また、ゴムブロックとゴムバンドの増加に伴い、ゴム・プラスチックの生産も前月比2.5%増と伸長した。他方、金融機関の自動車ローン審査の厳格化が続いてピックアップトラックの生産が減少したことから、自動車生産は前月比1.3%減と縮小した。また、製油所の一時的なメンテナンス停止により、石油も前月比0.8%減と縮小した。

需要面については、民間消費指数が前年同月比6.3%増、前月比0.5%減となった。ホテル、レストランでの支出が増加したことでサービス消費が拡大する一方、日用品や燃料などが含まれる非耐久財の縮小が影響した。また、民間投資は前年同月比3.6%減、前月比1.2%減となった。ピックアップトラックの生産が縮小したこと、国内の機械販売が減少したことにより、機械設備投資が低下したことが要因となった。

財輸出(金を除く)は前年同月比0.4%減、前月比で4.6%増となった。香港への宝飾品、南アフリカ共和国やベナンへのコメ、インドへのパームオイルや中国へのタピオカでん粉といった農業加工品などの分野で増加がみられた。他方、自動車や電化製品などでは減少した。

9月の外国人観光客数は213600人となり、前月比5.6%増となった。ほぼ全ての国からの観光客数が前月より増加した。特に長期休暇と重なった韓国やインド、前月に鈍化した中東や欧州、ビザ免除の恩恵を受けた中国からの観光客が増加した。観光収入も、観光客数や客室稼働率に連動して引き続き増加した。

2023年第3四半期(79月)のタイ経済をみても、国内観光客数、外国人観光客数の増加に伴うサービス業の回復や好調な個人消費が牽引し、前期に引き続いて拡大した。財輸出(金を除く)では、農産品、自動車などで増加した。一方で、民間投資は縮小した。前期に加速した機械設備投資の減少が要因となった。

(注)前月比は季節調整済みの数値。

(藤田豊)

(タイ)

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