米民主党から大統領選立候補のケネディ氏が無所属転向を表明

(米国)

ニューヨーク発

2023年10月11日

米国で2024年11月に行われる大統領選挙に民主党から立候補していたロバート・ケネディ・ジュニア氏は10月9日、無所属から立候補すると表明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。激戦州の1つのペンシルベニア州フィラデルフィアで開催した支持者向けのイベントで明らかにした。

同氏はロバート・ケネディ元司法長官の息子で、ジョン・F・ケネディ第35代大統領のおいとなる。環境弁護士として活動してきた経歴があり、その点は民主党の考え方と方向性は同じとする。一方で、バイデン政権が推進してきた新型コロナウイルス用ワクチンについては、非営利団体を創設して反対活動を展開しており、世論の耳目を集めていた。ケネディ氏は4月に民主党から大統領選への立候補を表明したが、同じく再選を目指して立候補したジョー・バイデン大統領に支持率で大きくリードされた状態が続いていた。ケネディ氏は、家族が基盤を築いてきた党を去ることは辛いこととしつつ、国家に真の変化をもたらすにはほかに道がないと結論付けたと述べている。イベントでは「2つの政党とそれらを支配する腐敗した権益、そして政府職員を大企業の奉公人におとしめた憎しみや怒り、腐敗とうそに支配されたシステムからの独立を宣言する」と発言し、ウォール街やテック系大企業、大手製薬企業などを批判した。

各種世論調査によると、現時点までに大統領選に立候補している候補者のうち、民主党ではバイデン大統領、共和党ではドナルド・トランプ前大統領がそれぞれ支持率トップとなっている。ここに無所属のケネディ氏が参戦する影響について、ロイターと調査会社イプソスが10月6日に発表した世論調査外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(注)が参考となる。上記3人を候補者として「今日、大統領選が行われた場合、どの候補に投票するか」との問いに、バイデン大統領との回答が31%、トランプ前大統領が33%、ケネディ氏が14%と、ケネディ氏が一定数の票を得る結果となっている。こうした現状を意識してか、ケネディ氏はイベントで「民主党は私がバイデン大統領の選挙を台無しにするとおびえている。共和党は私がトランプ前大統領の選挙を台無しにするとおびえている。彼らは正しい」と指摘している。共和党全国委員会やトランプ氏の選挙陣営は早くも、ケネディ氏の無所属転向を批判する声明を出している。今後、ケネディ氏が大統領選挙にどれほどの影響を与えていくか注目される。

(注)10月3~4日に1,005人の米国の成人を対象に実施。

(磯部真一)

(米国)

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