サウジアラビア鉄道公社、旅客用水素列車の試験運行開始

(サウジアラビア、フランス)

リヤド発

2023年10月11日

サウジアラビア鉄道公社(Saudi Arabia Railways:SAR)は10月8日、フランスのアルストムとの契約に基づき、水素列車の試験運行を開始すると発表した。2022年1月にエネルギー省とSARが署名した覚書に基づき、両社は運行開始に向けて10月から水素列車の環境適合性を評価するための運用試験と研究を行う〔10月8日付サウジアラビア国営通信(SPA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます〕。

アルストムの水素燃旅客列車コラディア・アイリント(Coradia iLint、注)は、リヤドの東部ネットワークの1号線または2号線で10~20キロを走行する予定で、サウジアラビア初の試験運行となる。

サレハ・アル・ジャセル運輸・物流相兼SAR会長は「水素列車の運行は、国家の運輸・物流戦略の目的の一部。最新のスマート技術を活用し、より持続可能な交通システムへと移行する計画に沿ったものだ」と述べた。

SARのバシャール・アル・マリク最高経営責任者(CEO)は「水素列車は、持続可能な輸送の最も重要な技術革新の1つ。このような列車は、鉄道の運行と移動に必要なエネルギーが二酸化炭素(CO2)を排出せずに生成される利点があり、持続可能なエネルギーの推進の魅力的な選択肢となり、環境、経済、次世代の未来にプラスの影響を与える」とした。

サウジアラビアのアルストムのモハメド・カリル・マネージングディレクターは「水素列車は、CO2排出量を削減し、非電化路線のディーゼル列車に代わる有力な代替手段となり得る。クリーンエネルギーと2060年までのネットゼロ目標に関するサウジアラビアの取り組みを支援するために、SARと協力することに全力で取り組む」と述べた。

(注)推進用の電気エネルギーを生成する水素燃料電池を搭載した世界初の旅客列車。

(林憲忠)

(サウジアラビア、フランス)

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